学校法人 自治医科大学 様

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光ネットワークを使って既存放送設備をネットワーク化。構内一斉放送システムで災害時、通常時の情報伝達に貢献。

概要

医療に恵まれないへき地離島等における医療の確保・向上及び地域住民の福祉の増進を図るため、1972年に設立された自治医科大学。医療に挺身する気概ある有能な総合臨床医の養成を建学の目的に掲げ、併せて医学および看護学の進歩と福祉の向上に資することを使命としています。
TOAでは、東日本大震災以降に課題として上がった災害発生時における一斉放送について、光ネットワークと既存放送設備を活用した構内一斉放送システムを通して、災害時の確実な情報伝達、日々のスムーズな施設利用に貢献しています。

納入情報

納入先 自治医科大学 様
納入品 IP告知放送システム
コンパクトアレイスピーカー
納入時期 2014年9月
採用背景 2011年3月の東日本大震災発生時には、施設ごとの放送設備しかなく、構内にある大学や附属病院などに向けて一斉に情報を伝達し、避難誘導などの指示・伝達を行う手段がありませんでした。震災後に実施した改善要望の洗い出しの中で、構内へ一斉に放送できる仕組みの導入も検討項目として挙げられました。

課題と解決のポイント

課題

  • 災害発生時に、災害対策本部からの避難誘導や指示を一斉に伝達できない
  • 施設ごとに放送設備が設置されており、構内全施設に向けて一斉に放送できる手段がない
  • 屋外を含めた構内全域に拡声できる手段がない
  • 操作が難しく、誤操作の心配がある

解決のポイント

  • 光ネットワークを使って各施設の既存放送設備をつなぎ、一斉放送システムを構築
  • IP告知放送によるクリアな音質を広大な構内に届けることが可能
  • 駐車場やグラウンドなどの屋外にスピーカーを増設。放送エリアも拡大
  • ソフトウェアによるグループ放送設定が可能で、使用状況に応じて設定の変更等が可能
  • タッチパネル式の操作卓で、放送エリアや放送内容を表示しながら簡単に操作できる

詳細

背景

東日本大震災をきっかけに災害発生時の構内一斉放送を検討。

自治医科大学では、構内敷地面積 587,077m2の中に、大学・附属病院本館、附属病院新館などの施設があり、学生、教職員、附属病院の患者、医師や看護師、病院職員、外来患者など1日約1万人が利用しています。
以前は施設ごとに放送設備があり、非常放送や業務放送は施設ごとに行われていたため、東日本大震災の際に、構内へ一斉に放送する手段がなく、災害対策本部として共通の情報を一斉に伝達できなかったことが、震災後に改善要望や意見を収集する中で防災上の問題点として挙げられました。災害発生時には災害対策本部として、構内に点在する施設や屋外に向けて災害情報や避難指示・誘導、各種連絡を一斉に情報伝達できるシステムが必要ということで、具体的に検討が始まりました。

課題

広大な構内に点在する施設をカバーでき、既存放送設備も使えてコストも抑えられる一斉放送システムを。

自治医科大学の敷地は広大で、多くの施設が建てられています。その施設それぞれに放送設備があり、非常放送や業務放送が使用されています。構内への一斉放送システムの導入に当たっては、なるべく簡易な方法で、導入コストも安く抑えられる方法を検討する必要がありました。
検討段階では、メタルネットワークを使用していたため、放送できるエリアに限りがありました。構内が広範囲に及ぶため、施工面での配慮も課題となりました。さらに、各施設の放送設備は操作が複雑で使いにくいといった意見もあったため、より簡単に操作できるシステムが求められました。

解決策

光ネットワークの敷設に合わせて構内全施設の既存放送設備をネットワークでつないだ一斉放送システムを構築。

今回納入した一斉放送システムは、構内全域に光ネットワークが敷設されたことにより、各施設にある既存放送設備すべてをネットワークでつなぎ、IP告知放送を使ってシステム構築しました。本館、エネルギセンターにある操作卓より構内一斉放送、個別のエリアへの放送、グループ放送などを行うことができます。さらに本館正面駐車場、子供医療センター駐車場、グラウンドに屋外スピーカーを設置、屋外への一斉放送も可能になりました。
放送設備の操作に関しては、構内マップからの放送エリア選択やグループ放送選択、放送内容も簡単に選択できるタッチパネル方式で、誤操作のリスクが格段に減少します。また、グループ放送などの設定はソフトウェアから変更可能で、以前よりも細分化されたグループ放送設定になっています。
さらに、緊急地震速報とも連動しており、震度5強以上の速報を感知した場合に、一斉放送されます。

  • 本館のラック型放送設備と操作卓。タッチパネルによる操作が可能で、マップからの放送エリア選択やグループ放送選択、放送内容の確認など、視認性がよく、操作しやすいレイアウトになっている。
  • 実際にオペレーターの女性スタッフが勤務している電話交換室の放送設備。本館同様、タッチパネル式の操作卓で、操作のしやすさも格段に向上している。

  • 本館第2駐車場前に設置されたコンパクトスピーカー。車両移動の案内放送などもできるようになり、業務の効率化にも役立っている。

インタビュー記事

「東日本大震災の教訓を活かし、災害時に災害対策本部から構内へ一斉に情報伝達できるシステムを構築できました。」

  • 自治医科大学 総務部 参事
    増渕 収 氏
  • 自治医科大学 総務部 管財課 課長補佐兼施設係長
    樋山 和広 氏
  • 自治医科大学 総務部 管財課 施設係 主任技師
    田中 克宏 氏
  • 自治医科大学 総務部 管財課 施設係 技師
    江田 晶紀 氏
-一斉放送システム構築のポイントは?

増渕 氏

自治医科大学は、構内敷地面積 587,077㎡の中に、大学・附属病院本館、附属病院新館、とちぎ子ども医療センター、医学部教育・研究棟、看護部棟、医学部学生寮、看護師宿舎・看護学部学生寮、教職員住宅などがあり、医学部学生708名、看護学部学生420名、教職員4,150名、そして附属病院の外来患者が3,000名弱、委託業者、それに面会者などを入れると1日約1万人が利用しています。
このような広大な敷地に施設も多く、どのように一斉放送システムを構築するかがポイントでした。構内に光ネットワークを敷設するという構想があり、これを利用して各施設の放送設備をネットワーク化して一斉放送システムを構築することにしました。既存の放送設備を使用できるため、コストも抑えられ、屋外への放送エリアの拡大も実現できました。

-現在の活用状況を教えてください。

田中 氏

今のところ、一斉放送システムを導入してから大きな災害が起きていないので、緊急放送や緊急地震速報の放送としての使用が幸いにも発生しておりません。日常業務の中で、例えば、教職員・学生への会議や講習会などの業務放送や外来患者様や御見舞の方への案内放送などに多く利用しております。

江田 氏

オペレーターからも「非常に使いやすくなった」という評価で、とくにタッチパネルで放送エリアを「見える化」できたことにより、ストレスなく操作できているようです。また、本来の目的からは逸れてしまいますが、駐車場に屋外スピーカーが増設されたことから、車両の移動案内の放送等、外部にいる方にも情報が伝わるようになったため、有効に活用できています。導入直後に、オペレーターから使用してみて不便な点、改善が必要と思われる点を要望され、放送エリアを選択するのに識別しやすいマップの色分けの変更、放送するグループの再設定を行いました。実際に使用しながら改善ができるとういう点も便利です。

-今後の展望をお聞かせください。

樋山 氏

今回導入した放送設備に限らず、災害が起きることを前提にして、様々な対策を整備する必要があると思っています。今回の放送設備は、導入当初の目的を意識して、災害発生時にしっかりと稼働し、施設利用者に情報伝達できるように、点検・整備を適宜行い、高い信頼性を維持していきたいと考えます。

自治医科大学の概要

1972年に設立された栃木県下野市にある私立大学で、医学部と看護学部を持つ。全寮制の医学部は地域医療に従事する総合医養成という観点から、臨床実習に重点を置いた教育が特徴。看護学部は、前身の自治医科大学看護短期大学を改組し2002年に開設されている。
医の倫理に徹し、高度な臨床的実力を有する医師を養成することを目的とし、併せて医学および看護学の進歩と福祉の向上に資することを使命とし、病める人の立場に立って総合的な医療を行える人材育成を行っている。

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