空港利用者の安全・安心を守るために、屋外での「伝える力」を強化。中型ホーンアレイスピーカーとIPオーディオシリーズで送迎エリアに滞在している車への注意喚起や有事の際の案内放送を両立
沖縄県那覇市に位置し、国内線・国際線の両ターミナルを備える那覇空港は、沖縄県の空の玄関口として多くの人に利用されています。近年、国内外を問わず観光・ビジネスの両面で利用者が増加する一方、一般車の長時間駐車や、国土交通省令に基づいて禁止しているレンタカー車両等の空港での受渡しなど交通マナーの悪化が問題に。加えて、災害などの有事が発生した場合には屋外の広範囲への避難誘導案内が必要になるなか、伝達できる手段がなく安全面に課題が生じていました。
そこで、送迎車両の乗降場が位置する国内線エリアを中心に、遠くまでクリアに拡声できる「中型ホーンアレイスピーカー」を採用。ネットワークを使って放送システムを構築できる「IPオーディオシリーズ」と組み合わせて導入したことで、スピーカーからマイク端末まで距離が離れていても設置、接続をすることができ、確実に利用者へ案内を届けることが可能に。また、将来的には国際線エリア側への拡張も見据えたシステムを実現しました。
さらに、多言語も含めた案内音源を放送システムに登録し、マイク放送以外にもスケジュールに合わせた自動放送が可能になったことで、警備員によるマナー違反者への呼びかけ業務が軽減し、効率的な注意喚起をもって空港運用を支えています。
納入品
中型ホーンアレイスピーカー
IPオーディオシリーズ
納入時期
2025年3月
那覇空港ビルディング株式会社
事業部企画課 城間 様
施設部施設課 伊礼 様
「空港利用者に対して、常時放送による周知徹底で、違法な受け渡しや駐停車が減少し、運用面でも安全面でも効果を感じています。」
──今回の導入背景について教えてください。
空港3階の高架道路内にある送迎エリアでは、以前から「国土交通省令に基づいて禁止しているレンタカー車両等の受け渡し」と「一般車の長時間駐停車」が問題となっていました。国土交通省大阪航空局那覇空港事務所(以下「CAB」)より警備員も配置はしていますが、口頭による注意喚起を行なってもその場しのぎで改善がされず、いわゆる“いたちごっこ”が続いていました。
さらに、コロナ明けからの旅行需要の回復と共に新規の中小規模のレンタカー事業者も非常に多くなり、空港における送迎ルールを理解していない事業者も多かったことから違法行為が後を絶たず常態化していきました。そこで、警備員が不在の時間帯でも継続的に注意喚起ができないか?というところで放送手段が検討範囲となりました。また、空港の管理においては、屋外にいる方に対して災害対策における避難誘導や案内に関わる設備がなかったため、何か緊急時に屋外放送ができたらというところで注意喚起と合わせて実現できると判断したためスピーカーとIPオーディオを採用させていただきました。
──スピーカーやシステム構築で重視したポイントはありますか?
屋外でどれくらいの音量で流せるか、遠くまで聞こえるのかと、音が大きすぎてもお客様から「うるさい」というクレームも想定していたのでそれは避けたいと思っていました。また、中央監視室との連携も実現したかったのでそれを可能とするシステム方式、連携構築できるものを希望していました。
──今回、自動放送を6分おきに流されていますが、理由を教えてください。
CABとの協議を経て設定しています。高架道路が国の管轄だったため、空港全体で違法行為に対して何か解決できないかというところで一緒に検討していきました。最初は1〜2分程度の間隔で常時放送を行う要望もありましたが、協議を続けた結果、6分間隔に落ち着きました。
導入当初は、日本語のみ放送をしていましたが、CABから要望があり現在は多言語で放送をしています。
──実際に導入されてみて、どんな効果がありましたか?
導入前、受渡し行為をしているレンタカー事業者に対して「違法です」と書かれたチラシを配布しており、ピーク月だと毎月20社以上配布していたところが、スピーカーを設置するのと並行してさまざまな対策を行った結果、現在は10社程度に収まっているという話を関係者から聞いています。対人での注意喚起はトラブルもあったため、広く放送することで気づきと周知徹底がカバーできたところが効果に繋がっていると感じています。また、レンタカーの利用客から事業者に対し「この放送が流れているけれど、違法なの?」という問い合わせも見受けられ、利用客に対しての予防効果も出ています。
──今後の展望を教えてください。
利用客がいない時間帯に放送を流しても意味がないというのは運営側としてはあるので、効率化を図るためにAIを使うことで頻繁に違法車が止まっている場合に放送を流すというのも手なのかなと思っています。この場合はこの放送など場合に応じて使い分けができたらというところと、カメラを使って混雑度に合わせて放送を切り替える仕組みを作りたいです。
また、保安検査場前においては指向性スピーカーの活用は検討余地が今後あるのかなと思っています。利用客に対して、特定の場所に案内を放送したいこともあるため、最適なスピーカーの選定をしていただけたらなと思います。目的地にいくよりも先に音声案内や、表示案内で切り分けができればというところで、スピーカーもそのうちの伝達手段の一つだと考えています。
──今後TOAに期待することがあれば、是非教えてください。
城間様:
AIを活用し、空港にメリットがあるような製品の開発や提案があれば、弊社としても今後受けていきたいというのはありますね。また、設備導入に関しては全国的にもコスト高の傾向なので、なるべくボリュームディスカウントなどが効くような提案の仕方や、他空港と抱き合わせでやるというのも1つの方法かと個人的に思います。
伊礼様:
さまざまな設備関連の更新が控えているので、ハード的に金額の問題など色々あるかと思いますが、使いやすい設備をご提供いただければ、こちらもニーズに合わせて選定していけるのかなと思います。また、他部署の担当者からインバウンド対応としてスムーズに日本語を多言語化できるものは欲しいという要望を聞いているので実現していきたいなと思っています。
空港3Fの出入口屋根上に設置された中型ホーンアレイスピーカー。この場所を含め、通路に2台ずつ×2か所に設置されており、注意喚起の案内放送を多言語で6分おきに流している。
盤の中に収納されているIPリモートマイク。通常時は、マイクに登録された音源をスケジュール化し自動放送を実施。有時には、手動で案内音源の起動やマイク放送をすることができる。
空港の防災センター内の盤に収納されているIP小型アンプ。IPリモートマイクとネットワーク上で連携しており、マイクからの音声を小型アンプに接続された中型ホーンアレイスピーカーで放送する仕組みとなっている。
那覇空港の概要
東シナ海に面し、多くの観光客が行き交う沖縄県の空の玄関口として機能している那覇空港。年間を通じて国内外から多数の利用者が訪れ、沖縄本島はもちろん、宮古・石垣といった離島エリアを結ぶ重要な交通拠点となっている。3,000m級の滑走路を備えた日本有数の空港であり、国内主要都市とのネットワークに加え、中国や韓国をはじめとするアジア圏への国際線も運航し、アジアの架け橋としての役割を果たしています。