道頓堀に来られる国内外の方に安心・安全に楽しんでいただくために。
放送機能を備えた防犯カメラ”タウンレコーダー”と、広範囲に音を届けることができる”ホーンアレイスピーカー”により防犯・防災の両面で情報伝達の課題を解消。
USJ、大阪城に次いで多くの外国人観光客が訪れている大阪・ミナミの道頓堀。道頓堀商店会は御堂筋から戎橋、太左衛門橋を挟んで相合橋までの約140店舗が立ち並ぶ屋外型の商店街です。巨大な立体看板が立ち並ぶ風景やさまざまなグルメ、松竹座の盛況等もあり、連日多くの観光客を楽しませています。
コロナ禍の後、徐々に活気が戻ってきた道頓堀ですが、その反面オーバーツーリズム対策(マナー啓発)や悪質な客引き、スカウト活動などの対策、災害発生時の情報伝達が課題となっていました。TOAではその課題解決として、タウンレコーダーとホーンアレイスピーカーを提案し、採用いただきました。
観光マナーや交通マナーに関する音源を4カ国語(日英中韓)で定時放送、マイク放送による情報伝達や警告、さらにカメラ映像をリアルタイムで確認でき安心・安全で賑やかな道頓堀観光をサポートしています。
納入品
タウンレコーダー G-R311-1
中型ホーンアレイスピーカー HA-2020MK2
納入時期
2024年12月
「防犯・防災の両面で、映像による状況確認と音による情報伝達のシステムを構築できました。
安心・安全な大阪ミナミ、道頓堀観光を楽しんでいただきたいですね。」
道頓堀商店会 事務局 事務局長
谷内 光拾 様
「現場巡回時の対面注意以外に、カメラ映像を確認して遠隔からスピーカーで注意放送できるようになったことが大きいですね。
繁華街パトロールには不可欠なシステムです。」
セキュリナ・セキュリティー・サービス株式会社
本部コントロールセンター クロースプロテクションオフィサー
大阪ミナミ街頭犯罪抑止業務総括隊長
福本 和宗 様
谷内 氏
私の前の事務局長から、「スピーカーを設置してほしい」といわれていたんです。理由を聞くと、以前大阪に台風が上陸したときに、外国人観光客に避難を呼びかける手段がなくて困ったということでした。コロナ禍が落ち着いてインバウンドの観光客も増えてきている中で、大阪・関西万博も控えており対策が急務となっていました。また、観光客の復活で道頓堀に活気が戻ってきて、急増したのが悪質なスカウトや客引き行為でした。ウェアラブルカメラを装着した警備員を巡回させるなどの対策を行なってきましたが、さらなる対策の強化が必要でした。
道頓堀商店会はアーケードのない商店街です。アーケードがある商店街では有線で簡単にスピーカーを設置できますが、道頓堀商店会は地下ケーブル方式のため配線から検討する必要がありました。その後にTOAからタウンレコーダーとの組み合わせでスピーカーを設置することで配線や耐風性の課題がクリアできるといった提案をいただき、オーバーツーリズム対策の助成金を申請して、設置にこぎつけました。
スピーカーの選定にあたっては放送エリアを広げたいという思いがあり、何種類かスピーカーのデモを聞いて検討しました。最終的に防災用途で実績のあるホーンアレイスピーカーの採用を決めました。
福本 氏
隊員がウェアラブルカメラを付けて道頓堀商店会を巡回して、客引き行為を見つけたらハンディメガホンで注意をしていました。カメラを装着して対応していますが、それでも押し問答になったりトラブルになることもあります。
今回設置したスピーカーは商店会様はもちろん弊社としても欲しい設備でした。
現在は巡回の合間に待機所に戻ってリアルタイムにタウンレコーダーのカメラ映像を見て、客引き行為を確認したら、「現在カメラで客引き行為を確認しました。条例違反なので、直ちにやめてください」という注意放送を行なっています。
また、巡回時の映像確認、放送用にパソコンやマイク、ポケットWi-Fi、USBオーディオインターフェースなどを持ち運べる携帯ケースを作り、携帯するようにしています。商店会を巡回する隊員はウェアラブルカメラを装着しているので、現場で何かあったら隊員のウェアラブルカメラ映像やタウンレコーダーカメラの映像も同時に確認しています。
谷内 氏
客引きなどの防犯目的の放送以外に、観光客向けに観光マナーや交通マナーに関する音源を4カ国語(日英中韓)で定時放送したり、路上喫煙や路上駐輪防止の音源なども用意して放送するようにしています。また、雨の日には「足元にご注意ください」という放送も4カ国語で流します。
大きな音量で放送しても音も割れないし、よく聞こえます。雨の中で水滴がつくなどの過酷な環境で使用しても壊れないし、使い勝手がいいですね。
福本 氏
今まででしたら客引きを確認したら現場での対面注意しか手段がなくトラブルになるケースがありました。今では映像をリアルタイムで確認し放送で注意して、そのリアクションも映像で確認できるので非常に便利です。
消防車の緊急出動時に、観光客でごった返しているときにはサイレンを鳴らしても、赤色灯を点灯してもなかなか人が避けない状況がありました。「緊急車両が入ります。道を開けてください」という放送を大音量で流して道を開けてもらったことも何度かありました。
繁華街パトロールのジャンル自体が警備業界でも多くはないのですが、その中でウェアラブルカメラを組み合わせた当社の警備は全国でもトップレベルのクオリティを保っていると思っていました。それに加えて、このシステムが導入されたことにより、さらに警備のレベルも上がっていると思います。
谷内 氏
開催中の大阪・関西万博でもいろいろな国の人が来ています。どんどん国際化しているので、道頓堀商店会も国際化の波に乗り、10年後、20年後、30年後も多くの観光客に訪れてもらえる商店会を目指していきたいと思います。
とくに2030年には統合型リゾート 大阪IRの開業も予定されています。さまざまな層の観光客が訪れると思われるので、今とは違った防犯対策も検討する必要があります。そういう意味では今回非常にいいシステムを導入したので、道頓堀商店会としても安心・安全な道頓堀観光を楽しんでいただけるようにアップデートしていきたいと考えています。
道頓堀商店会の松竹座近くに設置されたタウンレコーダーとホーンアレイスピーカー。この場所を含め、道頓堀商店会内に計6カ所設置されており、タウンレコーダーの内蔵音源(ポイ捨て禁止アナウンスなど)を、スケジュール機能を利用して10分~30分間隔で4カ国語で自動放送している。
巡回警備の合間には待機所からタウンレコーダーの映像を遠隔で確認。迷惑行為が確認できた場合はマイクによる警告放送で注意を呼びかけることができる。
現場を巡回する際に警備員が携帯するモバイルパソコン、マイク、Wi-Fiルーター、USBオーディオインターフェース。携帯しやすいようにモバイルケースを独自に制作して使用されている。
道頓堀商店会に設置された6台のタウンレコーダーのカメラ映像(左)(上)と、1台のカメラ映像確認用の表示画面(右)(下)。警備員はこの映像をパソコンで見ながら、迷惑行為防止の放送などを行なっている。
道頓堀商店会の概要
大阪の人気スポットである道頓堀は、私財を投げ打って1615年に運河を完成させた安井道頓の功績を讃えて「道頓堀」と名づけられました。その後、芝居や歌舞伎の娯楽が栄え、茶屋なども増えたのが今の食とライブエンターテインメントの街としての礎を築きました。
道頓堀商店会は、昭和30年頃に発足した大阪・ミナミの中心に位置する活気あふれる商店街で、グルメや観劇、買い物が楽しめるほか、AR技術やDX化を活用した先進的な取り組みも進行中です。商店会を訪れる観光客が安全に楽しめる街づくりを目指し、地域の安心・安全にも力を入れられています。
DATA
道頓堀商店会
http://www.dotonbori.or.jp/ja/