窓口と駐車場の混雑を「見える化」し、住民サービスと業務効率化を両立。
「書かない窓口」と連動したDXの実装へ。
三重県東員町では、「書かない窓口」として電子申請の導入により、行政手続きのデジタル化を進めてきました。一方で、転入・転出などの手続きは来庁が必要で、窓口の混雑が課題となっていました。また、庁舎周辺には体育館や公園があり、イベント時には駐車場の混雑も課題となっていました。
東員町ではこうした課題に対し、「規制」ではなく、混雑状況を可視化し、住民が自ら行動を判断できる環境づくりを選択。その実装を支えたのが、TOAの「TRIFORA Webサービス」です。
東員町では、窓口業務と電子申請が併存する中で、来庁の集中や業務負担の増大といった運用上の課題への対応が求められていました。
そこで町が重視したのは、単に混雑を解消するのではなく、住民が自ら状況を把握し、行動を選択できる仕組みを整えることでした。あわせて、職員の負担を増やさず、少人数でも継続運用できることも重要な条件とされました。
導入のポイントとなったのが、「混雑の見える化」と「行動選択を促す仕組み」です。混雑情報を可視化することで、来庁のタイミング分散や電子申請への移行を促し、業務と利用双方の最適化を図る狙いがありました。この方針を実装するにあたり重視されたのは、現場で継続して使える運用設計でした。
TOAでは、東員町の要件に対して住電商事株式会社と連携し、直感的に把握できる情報の見せ方やプライバシーに配慮した映像処理、さらに既存施策との連携を一体的に設計し、実運用に適した「見える化の基盤」を構築しました。
カメラ映像をWeb上で公開し、住民が来庁前に混雑状況を確認可能。
来庁時間の分散を促し、混雑緩和に寄与。
AI処理により人物を識別できないように、アバター化して表示。
「見える化」と「プライバシー保護」を両立。
庁内から映像確認・運用管理が可能。
現地常駐の必要がなく、少人数体制での継続運用を実現。
住民自ら、「混んでいれば来庁を避ける」という判断を促進。
来庁時間の分散や電子申請への移行を推進。
この仕組みにより、住民の利便性向上と行政負担軽減の両立が図られました。
納入品
画像認識AI搭載TRIFORAネットワークカメラ(通過人数カウント/滞在人数カウント/プライバシー保護画像)
TRIFORA Webサービス
納入時期
2025年10月
「混雑状況が事前に分かることで、
住民が自ら行動を選択できる環境が整いました。」
(右)三重県東員町 総務課
課長補佐 兼 総務管財係長 三林 直樹 様
(左)三重県東員町 子ども家庭課 こども家庭センター
廣田 航平 様
廣田 様
当町では「書かない窓口」の導入など、デジタル化を進めてきましたが、転入・転出などの手続きは引き続き来庁が必要で、窓口の混雑が課題となっていました。また、庁舎周辺には体育館や公園があり、駐車場の混雑も大きな問題でした。
そこで、混雑状況を可視化し、住民が来庁のタイミングを判断できる仕組みが必要だと考えました。
三林 様
混雑状況の可視化とプライバシー保護を両立できる点が大きなポイントでした。また、電子申請など既存の施策と組み合わせることで、住民の行動変容につながると判断しました。
廣田 様
本事業の実現にあたっては、新地創生(新しい地方経済・生活環境創生)交付金を活用しました。単独予算での導入は難しい中、混雑状況の見える化による住民利便性の向上や、行政業務の効率化といった点が評価され、事業化に至りました。申請にあたっては他自治体の先行事例も参考にしながら、目的や効果を整理し、関係事業者と連携して具体化を進めました。
三林 様
ライブカメラ映像の公開にあたっては、プライバシーへの配慮が大きな課題でした。他自治体の取り組みも参考にしつつ、外部事業者と連携しながら、単なるモザイクではなく混雑状況を正確に把握できる方法を検討しました。そうした中で住電商事株式会社から、AI処理により人物を識別できない形に変換しつつ可視化できる仕組みをご提案いただき、実現に至りました。
ライブカメラ映像の公開については、これまでも河川やため池の状況を地元ケーブルテレビのラッキータウンテレビ様のWebサイトで配信していた実績がありました。今回の取り組みでも既存の配信基盤を活用し、窓口や駐車場の混雑状況も同じサイト内で確認できる形とすることで、住民が自然にアクセスできる導線を整備しました。既存サービスとの連携により、新たな仕組みであっても無理なく定着させることができたと感じています。
廣田 様
導入後の反応としては、まずアクセス数が当初想定していた約3,000件に対し、7,000件以上と大きく上回る結果となり、関心の高さを実感しています。また、アンケートによる満足度も90.8%と非常に高く、利便性の向上につながっていると感じています。「カメラの設置箇所を増やしてほしい」といった前向きな意見も寄せられております。職員側の負担軽減についても、来庁の分散による効果を期待しています。
三林 様
今後は、現在の運用をベースにしながら周知を強化し、より多くの住民に活用してもらえるよう取り組んでいきたいと考えています。また、混雑状況の見える化の対象を他施設へ広げる展開についても検討していく予定です。今回の取り組みは、既存施策と連携しながら住民の行動判断を支援する仕組みとして有効であり、同様の課題を抱える他自治体にとっても参考になる事例になるのではないかと感じています。
「混雑を見せたい、でもプライバシーは守りたい。
その両立を実運用まで見据えて提案できました。」
住電商事株式会社
電設営業本部 大阪ネットワーク営業部
ネットワークグループ長 杉 雄輝 様
杉 様
東員町様からは、「住民サービスの向上」「業務効率化」「セキュリティ確保」という要件が明確に示されており、特に重視されたのがプライバシー保護でした。混雑状況を可視化しながらも個人が特定されない仕組みが求められました。従来のカメラ運用では、モザイク処理を行うケースが一般的ですが、それでは何が映っているのか分かりづらくなってしまいます。そのため、単なるぼかしではなく、人の動きを把握できる形で可視化する必要があります。そこで有効だったのが、映像をアバター化できる仕組みでした。
類似するシステム自体は他にも存在しますが、TOAのTRIFORA Webサービスは、「カメラ」、「AI処理(アバター化)」、「クラウド配信」が一体となったハイブリッド構成になっており、「実運用を見据えられる」という手応えを感じました。
杉 様
東員町様は非常に先進的な取り組みをされている自治体です。単一の課題解決ではなく、既存システムと連携させながら、全体としてどのように住民サービスに還元するかまで考えられていました。今回の「混雑見える化システム」も「書かない窓口」、「既存の情報配信インフラ」といった取り組みと組み合わせることで、より大きな価値を生み出しています。
東員町様のように、混雑状況を可視化し、行動の判断材料を提供する仕組みは、DX化による新たな行政サービスへの移行を後押しする有効な手段になります。今後、他の自治体にも積極的に提案していきたいと考えています。
役場窓口の混雑状況を映すTRIFORAネットワークカメラ。庁舎内で6台設置されており、そのうちの3台はプライバシー保護のため窓口利用者をAIクラウドサービスでアバター化して配信している。
東員町役場庁舎に設置されたTRIFORAネットワークカメラ。役場駐車場の混雑状況を3台のカメラで撮影。住民はスマホやPCからアクセスして混雑状況を閲覧することができる。
東員町役場の駐車場、窓口を映すライブカメラ映像は、地元のケーブルテレビ会社が運営しているWebサイト「ラッキータウンテレビ」から、以前に設置した河川やため池のライブカメラ映像とともに閲覧することができる。
三重県 東員町の概要
三重県東員町は、県北部に位置し、名古屋市へのアクセスにも優れた住宅都市です。都市機能と豊かな自然環境が調和した暮らしやすい地域として発展してきました。
近年は人口増加に対応したまちづくりとともに、行政サービスの高度化にも力を入れており、「書かない窓口」として電子申請の導入など、積極的にデジタル化を推進しています。住民の利便性向上と行政の効率化を両立するため、DX施策を段階的に展開し、持続可能な自治体運営の実現を目指しています。
DATA
東員町
https://www.town.toin.lg.jp/