沖縄県石垣市 様 印刷用PDF

沖縄県石垣市 様

川平湾の混雑を「見える化」し、観光と暮らしの両立を実現。
遠隔見守りサービスと多言語音声案内で支えています。

概要

沖縄県石垣市・川平湾。
年間149万人を超える観光客が訪れるこの地では、クルーズ船の寄港が重なる日は短時間で来訪者が特定エリアに集中し、現地対応や注意喚起が後手に回る状況が続いていました。
石垣市はそれらの課題に対して、「規制」ではなく、混雑状況を可視化して伝え、来訪者自身が判断できる環境づくりを選びました。
その実装を支えたのが、TOAのタウンレコーダー遠隔見守りサービス、IPオーディオ、AIアナウンスサービス「YUTTE」、防災スリムスピーカーです。

施主様

沖縄県石垣市

元請会社様

NTT西日本

場所

川平湾

お役立ちのポイント

観光客や事業者が「判断できる環境」をつくる
石垣市とTOAが描いた対策の考え方

川平湾では、外国人観光客の増加にともなう私有地への立ち入りやゴミ問題、遊泳禁止区域での危険行為、二次交通の不足など、地域住民からの声が年々増えていました。一方で、看板や紙掲示による注意喚起には限界があり、外国人観光客には十分に伝わらないという課題もありました。
石垣市が重視したのは、

  • 観光を止めずに持続可能な受け入れを実現すること
  • 現地で働く人・暮らす人の負担を増やさないこと
  • 省人化された運用でも継続可能であること

その答えとして、「混雑状況の可視化して見せること」と「多言語による音声案内で伝えること」を組み合わせる方針が固まりました。

TOAが担ったのは、
「仕組みを、現場で“使える形”に落とし込むこと」

石垣市では、混雑の可視化や音声案内といった施策を単体で導入するのではなく、少人数体制の行政でも無理なく運用し続けられる仕組みとして成立させることを重視されました。TOAはその方針を踏まえて、運用体制や人員、補助金活用といった条件を総合的に整理しながら、現実的かつ持続可能な観光DX基盤を構築しました。“配慮が行き届く”オーバーツーリズム対策として、また地域住民の生活環境と安全の確保に貢献しています。

システムの特長と効果

  • 混雑状況の可視化
    タウンレコーダー遠隔見守りサービスによりカメラ映像をYouTubeでライブ配信を実施。観光客や事業者がスマートフォン等から混雑状況を確認でき、観光客自身が行動を判断できる環境を実現。
  • 多言語で“耳から伝える”マナー啓発
    IPオーディオとAIアナウンスサービス「YUTTE」を連携し、日本語・英語・中国語(繁体字)・韓国語の4か国語で定時放送。紙掲示では届きにくかった注意喚起を、4か国語放送で確実に周知。
  • 遠隔から状況把握・即時対応が可能な運用
    市役所からカメラ映像確認や放送操作ができ、混雑や危険行為の兆候を把握した際には遅延なく対応。現地に職員を常駐させず、少人数体制での運用を支援。

この仕組みにより、混雑状況を現地に行かずとも把握できるようになり、状況に応じた注意喚起をタイムリーに行える体制を構築しました。職員が常に現場対応に追われることなく、判断と対応を最小限の負担で行える点も運用面での大きな変化です。

実際に配信しているYouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/@ishigakikankou

納入品

タウンレコーダー
IPオーディオ
YUTTE
防災スリムスピーカー

納入時期

2026年3月

インタビュー記事

「混雑状況の可視化と多言語音声案内を組み合わせて、
観光客の方にも、地域の方にも気持ちよく過ごしてもらえる仕組みができました。」

沖縄県 石垣市
企画部 観光文化課 観光推進係
係長 池城 奈央 様

-今回のオーバーツーリズム対策の背景を教えてください。

池城 様

川平湾では、クルーズ船寄港の増加により、短時間に多くの観光客が集中する状況が続いていました。とくに混雑やマナーの問題については、地域住民からの声も多く、これまでの紙掲示中心の注意喚起では限界を感じていました。
そこで、観光客の行動を制限するのではなく、混雑状況を「見える化」し、来訪者自身が判断できる環境を整えることが重要だと考えました。また、訪日外国人にも確実に伝えるため、多言語による音声案内を組み合わせることで、より効果的な啓発ができると判断しました。
遠隔から状況を確認し、必要に応じてタイムリーに案内できるこの仕組みは、少人数体制の行政にとっても現実的で、地域と観光の両立を目指す石垣市に合った対策だと考えています。

-導入にあたっての課題、導入の決め手は?

池城 様

オーバーツーリズム対策として必要性は感じていたものの、単独予算での事業化は難しく、補助金や交付金の制度をどう生かすかが重要なポイントでした。その中で、観光庁の補助金を活用できる可能性が見え、“オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光地域づくり実証枠”の補助金について具体的な検討を進めることができました。
採択にあたっては、NTT西日本様に技術面や事業内容の整理、実現性の担保といった点でサポートをいただきました。混雑状況の可視化と多言語音声案内を組み合わせた構成は、補助金の趣旨とも合致しており、「この内容なら説明が通る」と判断できた点が導入の決め手でした。関係機関と連携しながら課題を一つずつ整理できたことで、補助金活用の目途が立ち現実的な導入につなげることができました。

-地域住民の方の反応は?

池城 様

川平湾周辺では、観光客の増加にともない、地域の方からお電話をいただいたり、公民館を通じてさまざまな声が寄せられていました。トイレの使い方やゴミのポイ捨て、遊泳禁止区域で泳いでいる人がいること、とくに住宅地への立ち入りによるプライバシーへの不安は大きな課題でした。
今回、デモ運用の段階で仕組みを説明した際には、公民館の方や駐車場管理に関わる方から「自分たちではなかなか伝えられないことを、音声で伝えてもらえるのは助かる」「いい取り組みだと思う」といった声をいただきました。多言語で放送できる点についても、外国人観光客への対応として評価していただいています。地域の生活を守りながら観光と両立していくための一つの方法として、前向きに受け止めていただけたと感じています。

-今後の運用体制、展開について教えてください。

池城 様

今後の運用については、ライブカメラで混雑状況を常時確認しながら、必要に応じて音声案内を活用していく形を想定しています。音声案内の内容についても、まずは公民館の皆さんから伺った要望をもとに運用を始めていますが、今後は現地で働く事業者の方などの意見も取り入れながら、少しずつ見直していきたいと考えています。注意喚起だけでなく、観光地としての雰囲気を大切にしながら、訪れる方にも気持ちよく過ごしていただける発信ができればと思っています。
また、今回の取り組みを通じて得られる観光客の行動情報を分析し、今後の観光施策や別エリアでの展開、新たな観光スポットの発掘や観光需要の分散などにも生かしていくことを視野に入れています。

納入商品

川平公園に設置されたタウンレコーダーと防災用スピーカー

川平公園に設置されたタウンレコーダーと防災用スピーカー。
AIアナウンスサービス「YUTTE」で作成した日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語による注意啓発アナウンスを定時放送し、公園内へ明瞭な音声で届けている。

川平公園管理事務所にあるIPリモートマイク

川平公園管理事務所にあるIPリモートマイク。注意啓発アナウンスの定時放送のほかに、肉声による放送も可能。

IPオーディオのIPページングゲートウェイとIP小型アンプ

IPオーディオのIPページングゲートウェイとIP小型アンプ。公園管理事務所から観光事業者がマイク放送することができる。

タウンレコーダー遠隔見守りサービスのカメラ映像

タウンレコーダー遠隔見守りサービスのカメラ映像。市役所の管理用PCでカメラ映像を遠隔で確認できるほか、遠隔放送なども行うことができる。

観光事業者や観光客はスマホやタブレットからカメラ映像を確認することができる

タウンレコーダー遠隔見守りサービスはカメラ映像をYouTubeライブ配信可能なため、観光事業者や観光客はスマホやタブレットからカメラ映像を確認することができる。

石垣市の概要

石垣市は沖縄県八重山諸島の中心に位置し、亜熱帯の豊かな自然に囲まれながら、離島でありつつ都市機能を備えた地域です。川平湾をはじめとする美しい海やサンゴ礁、マングローブ林、国内有数の星空環境など、多様な自然資源が国内外から高く評価されています。
基幹産業は観光であり、近年はクルーズ船寄港や航空路線の拡充により交流人口が大きく拡大。観光振興と自然環境・地域生活の調和を図りながら、持続可能なまちづくりを推進しています。

DATA
石垣市
https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/

導入商品