南海電気鉄道株式会社 様

「南海電気鉄道株式会社」のイメージ画像

インバウンド旅客も含め、すべての乗客に対して安全・安心で良質な交通サービスを提供するために、タブレット操作による「多言語放送サービス」を活用し、列車の運行状況などを4カ国語で放送。

概要

大阪の難波と和歌山市を結ぶ南海本線、関西国際空港に乗り入れている空港線、世界遺産の高野山とを結ぶ高野線などの路線を運行している南海電気鉄道株式会社(以下、南海電鉄)。安全・安心で良質な交通サービスを、沿線の住民や観光などで利用する乗客に提供しています。
とくに、空港線をはじめ利用が増えている外国人観光客に対して、列車の運行状況を多言語で報せる「多言語放送サービス」を導入。タブレットによる簡単操作で、駅員無配置駅にも的確に列車の運行状況を放送するなど、すべての乗客に対する安全で快適な交通サービスの提供に貢献しています。

納入情報

納入先 南海電気鉄道株式会社 様
納入品 多言語放送サービス
納入時期 2018年5月
採用背景 増え続けるインバウンド旅客に対して、人身事故などが発生したときに列車の運行状況などを多言語で情報伝達する手段を検討されていました。タブレットによる簡単操作で駅員無配置駅にも的確に、繰り返し多言語で放送できる「多言語放送サービス」を提案し、採用に至りました。

課題と解決のポイント

課題

  • 関西国際空港などから訪れるインバウンド旅客に対して、振替輸送や遅延などのイレギュラーな放送では、日本語でしか案内できていなかった
  • 簡単な操作で駅員が状況に応じて放送内容を変更し、聞き取りやすい多言語放送による情報伝達を、インバウンド旅客を含むすべての乗客に対して行いたい
  • 空港線や高野線といった南海電鉄の路線の特徴に合わせて、放送文も追加して多言語で放送したい
  • 駅員無配置駅に対しても、列車運行状況などを的確に、多言語で情報伝達したい。無配置駅からのインターホンによる乗客からの問い合わせを減らすことで、主管駅の駅員の業務負担を軽減したい

解決のポイント

  • 既設放送設備を利用して、簡単な操作で多言語(日・英・中・韓)による案内放送が可能な「多言語放送サービス」を提案
  • タブレットの画面でカテゴリーごとに分類された日本語のテキスト文を選択。状況に応じて選択式の可変部分を変更するだけで、的確な多言語による情報伝達を実現
  • 通常の放送内容に加えて、空港線の運行状況など南海電鉄独自の放送文も追加して4カ国語による多言語放送環境を用意
  • 公共空間放送での拡声に特化した音声合成エンジンで、聞き取りやすい4カ国語放送が可能に
  • 駅員無配置駅へも多言語で迅速に繰り返し放送ができるため、無配置駅からの問い合わせが減り、自駅(主管駅)での対応に集中することができる

詳細

背景

関西国際空港などを利用するインバウンド旅客が大幅に増加。
日本語のみの拡声放送を見直す時期に。

ここ数年、空港線を走る特急ラピートの利用客の7~8割をインバウンド旅客が占め、また世界遺産の高野山を訪れる外国人観光客も欧米を中心に伸びるなど、インバウンド旅客数が増え続けています。
しかしながら、列車の遅延や運休が発生した場合には、日本語でしか案内放送できていなかったため、インバウンド旅客への情報伝達が十分ではありませんでした。駅の改札で問い合わせが殺到したり、滞留客がホームに溢れるなどの影響が出ており、案内放送を見直す時期に来ていました。

課題

インバウンド旅客を含む南海電鉄の利用者に対して、列車の遅延などの運行状況を多言語による放送で伝達したい。
利用客の利便性と安全性の向上を図るとともに、駅員無配置駅から主管駅への問い合わせを減らすことで、駅員の業務負担を軽減したい。

列車遅延などの際に改札付近やホームに滞留しているインバウンド旅客に的確に情報伝達を行うために、状況に応じた多言語放送を簡単な操作で実現する必要がありました。
また、列車の遅延などが発生した場合、駅員無配置駅からの問い合わせが、駅員が常駐している主管駅に殺到し、主管駅の駅員の業務量が増加していました。

解決策

タブレットの簡単操作で4カ国語の案内放送が可能な「多言語放送サービス」を利用。
音声合成エンジンによる聞き取りやすい放送で、列車の運行状況などを的確に情報伝達。

タブレットの画面でカテゴリーごとに分類された日本語のテキスト文を選択し、状況に応じて選択式の可変部分を変更するだけで、的確な多言語(日・英・中・韓)による情報伝達が実現できるTOA「多言語放送サービス」が採用されました。通常の列車の運行状況やマナー放送に加えて、空港線の運行状況や高野線の放送、沿線のイベントなどの南海電鉄独自の放送文も追加した、南海電鉄仕様になっています。
音源については公共空間放送での拡声に特化した音声合成エンジンを使用しており、4カ国語とも聞き取りやすい音声での放送を実現しています。また、駅員無配置駅にも主管駅からのタブレット操作で、多言語による繰り返し放送が迅速にできるため、無配置駅からの問い合わせ件数も削減され、自駅(主管駅)での対応に集中することができるようになりました。

  • 新今宮駅に設置された多言語放送サービスのタブレットと放送用操作卓(上)。
  • 放送用操作卓(既設)から、駅員無配置駅へも放送できる。
    タブレットによる多言語での放送のほか、マイクを使用しての放送も可能。

多言語放送サービスのタブレット。直感的な操作で誰でも簡単に使えるインターフェースを採用。信頼性の高い多言語翻訳と公共空間での拡声に特化した音声合成エンジンにより、聞き取りやすく高音質な放送を実現。

インタビュー記事

「インバウンド旅客をはじめ、南海電鉄利用客に対して、聞き取りやすい多言語放送が実現できました。今後は計画運休などの放送文も用意し、さらに安全・安心で良質な交通サービスを提供していきます。」

南海電気鉄道株式会社 鉄道営業本部 電気部 電気課

主任 橋野 浩 様

「多言語放送サービスの導入により列車の運行状況を的確に放送できるようになったので、窓口への問い合わせ件数が減って、業務効率が高まりました。」

南海電気鉄道株式会社 鉄道営業本部 運輸部 業務課

主任 湯川 誠 様

-「多言語放送サービス」の導入にあたって重視されたことは?

橋野 氏

インバウンド旅客への配慮として、簡単な操作で多言語放送が行えるシステムを導入したいと考えました。事故や機械故障などによる列車遅延や運休が発生した場合、主管駅では自駅だけでなく駅員無配置駅への対応業務も加わるので、より簡単に多言語放送ができることを重視しました。

また、事故や信号機故障だけではなく、空港線の強風といった南海電鉄の路線特有の文言や沿線のイベントなどの文言も追加したいといった思いもありました。

-「多言語放送サービス」をどのように使用されていますか?

湯川 氏

インバウンド旅客に対して、事故時の運休や電車の遅延などの運行状況を、4カ国語(日・英・中・韓)で放送しています。

導入後、人身事故や台風による遅延などで多言語放送を行いましたが、自駅(主管駅)だけでなく、駅員無配置駅にもタブレット操作で的確に多言語放送を繰り返し行えるので、問い合わせが格段に減り、業務負担の軽減につながっています。また、その場で放送内容を編集できるので、非常に助かっています。

今回、音源には合成音声エンジンを採用していますが、4カ国語とも肉声に近く違和感のない聞き取りやすい放送ができています。

-TOAの放送設備を長年使用されていますが、TOAの印象は?

橋野 氏

耐久性には非常に優れているというのが私の率直な感想です。機器の故障やトラブルもほとんど聞きません。一度導入した機器はできるだけ長い期間使用したいという思いがあるので、耐久性もありトラブルにもすばやく対応いただけるのでその点は安心です。最近では、高齢者向けスピーカーを紹介してもらいましたが、鉄道業界も今後高齢者の利用が増えてきますので興味深かったです。音に関する技術も非常に評価しています。

難波駅の放送架(既設)。

-今後の展望をお聞かせください。

湯川 氏

現在、列車の運行状況やマナー、催事イベントなど71の文章を用意していますが、現場から追加の要望もあるので、精査して拡充していきたいと考えています。とくに、昨年に乗客の安全確保の観点から初めて導入した計画運休の放送文は追加する予定です。また、フランス語も必要だという話が出ています。オリンピックの公用語でもありますし、高野山は世界遺産ということでヨーロッパからのお客様が多く、宿坊での宿泊や精進料理などを体験されています。すべての放送文で必要というわけではありませんが、必要な放送文だけを選択して放送できるのもタブレットのメリットなので、今後、追加を検討していきたいと考えています。

2025年には大阪万博が開催されます。百舌鳥・古市古墳群も世界遺産登録を目指しています。放送する言語や放送文を増やしていくことで、インバウンド旅客を含めたすべての南海電鉄利用者がより安全で快適に駅や列車を利用していただけるようにサービス向上を行っていきたいですね。

南海電気鉄道株式会社の概要

南海電気鉄道株式会社は運輸、不動産、流通、レジャー、サービス、建設など合計77社で構成される南海グループの中核的な企業で、純民間資本としては現存する日本最古の私鉄である。
難波と和歌山、関西国際空港、高野山などを結び、総営業キロ154.0kmを誇る。
2018年10月に開業した「なんばスカイオ」は関西国際空港に直結するインターナショナルゲートシティ=なんばのランドマークとして、世界に向けて新たな価値、コミュニケーションを創造している。

導入商品

ページトップへ