京阪電気鉄道株式会社 様

「京阪電気鉄道株式会社」のイメージ画像

駅を利用する外国人観光客を含む、すべてのお客様の利便性・快適性の向上を目指して。
4カ国語による観光地へのアクセスや乗換案内、運行情報を、駅放送設備を活用して放送できる「多言語放送サービス」を導入。

概要

大阪・京都・滋賀を結び、沿線にある多くの観光スポットへの移動目的でも利用客の多い京阪電気鉄道株式会社。「安全安心」のための取り組みと、「すべてのお客さまにやさしい環境づくり」、および「快適性・利便性の向上」の取り組みを進めています。
ここ数年増え続けている外国人観光客に対しては、駅係員への問い合わせの多かった沿線の観光地へのアクセスや乗換案内の情報などを多言語で報せる「多言語放送サービス」を導入。列車の遅延や運休などの運行情報、沿線のイベント情報についても多言語による案内を既設の駅放送設備を活用して行うことで、すべての利用者に対する利便性・快適性の向上をサポートしています。

納入情報

納入先 京阪電気鉄道株式会社 様
納入品 多言語放送サービス
納入時期 2018年3月
採用背景 ここ数年、外国人観光客の利用が増え続けており、駅係員への問い合わせが多い観光地へのアクセスや乗換案内などを多言語で情報伝達する手段を検討されていました。駅の放送設備を活用し、現場の状況に合わせて、文章の選択や繰り返しの放送がタブレットにより簡単に行える「多言語放送サービス」が採用されました。

課題と解決のポイント

課題

  • 増え続ける外国人観光客に対して、沿線の観光地へのアクセス情報や乗換案内、イベントの案内情報などを多言語で周知できていない
  • 各駅に応じた放送内容と聞き取りやすい音声で情報伝達を行いたい
  • 列車の遅延や運休などの運行状況、災害発生時の計画運休の情報など、異常発生時の情報伝達についても多言語で報知したい
  • 外国人観光客の問い合わせが増えて、駅係員の応対業務も著しく増加していたため、駅係員の業務負担を軽減したい

解決のポイント

  • 駅の既設放送設備を利用して、タブレットによる簡単な操作で、公共空間放送に特化した音声合成エンジンによる聞き取りやすい多言語(日・英・中・韓)案内放送ができる「多言語放送サービス」を提案
  • 多言語放送サービスを導入した駅ごとに沿線案内や乗換案内、最寄りの観光地などに分類された日本語のテキスト文をタブレット画面から選択。状況に応じて可変部分を変更するだけで的確な情報伝達を実現
  • 運行情報などの基本的な放送内容に加えて、人身事故などの異常時や災害発生時の計画運休など駅独自の放送文にも対応
  • 外国人観光客から問い合わせが多かった内容は、多言語放送サービスによる一斉報知で伝達。問い合わせ件数も減り、よりきめ細かな対応も可能に

詳細

背景

沿線の観光地を訪れる外国人観光客が年々増加。
業務負担軽減と利便性向上に向けて多言語放送を検討する契機に。

4、5年前より、祇園四条駅や伏見稲荷駅をはじめとして、京阪電車を利用して観光地を訪れる外国人観光客が増え続けています。人気の観光地や主要駅へのアクセス、地下鉄や私鉄への乗換などの問い合わせも多く、都度駅係員が応対していました。また、電車の遅延や運休などの運行情報については日本語による放送のみでした。そのため、問い合わせ件数も増えて駅係員の業務負担も大きくなっており、外国人観光客に対する利便性・快適性向上の両面から多言語による案内放送を検討することになりました。

課題

外国人観光客を含むすべての乗客が便利に、快適に京阪電車を利用できるようにしたい。
列車の遅延や運休情報なども多言語で的確に情報伝達を行い、駅係員の業務負担軽減につなげたい。

駅や観光案内所などでの外国人観光客からの問い合わせに対して、多言語で的確に情報伝達を行うことで利用しやすい環境整備を行うとともに、問い合わせ件数を減らして駅係員の業務負担軽減を図る必要がありました。
また、京阪線全60駅のどの駅に多言語放送を導入すれば効果的なのか、どのような内容を多言語で放送するのか、放送文章を精査する必要がありました。さらに、観光情報や乗換案内だけではなく、災害発生時の計画運休や異常時の列車の運行情報についても、多言語で的確に情報伝達するように国からも求められていました。

解決策

主要15駅に4カ国語の多言語案内放送が可能な「多言語放送サービス」を導入。
共通で使用する放送文章に加えて、駅独自の放送文章や異常時の運行情報などを追加し、タブレットによる簡単操作で的確に情報伝達。

既存の放送設備に接続し、タブレットで駅ごとに分類された日本語の文章を選択して4カ国語(日・英・中・韓)放送ができる、TOA「多言語放送サービス」が主要15駅に順次導入されました。放送文章については基本的な内容に加えて、設置した駅ごとに外国人観光客からの問い合わせが多かった内容や、駅特有の観光地へのアクセスや乗換案内、イベント開催時の案内、異常時の列車運行情報などの放送文が追加されています。また、放送文は可変部を変更することが可能で、ホームの番線や時刻などを変更して、多言語で放送することもできます。さらに追加の放送文についても、定期的にアップデートされています。
多言語放送の音源はTOAが公共空間放送で長年培ってきたノウハウを活かし、拡声に特化した音声合成エンジンを使用しており、スムーズで聞き取りやすい音質を実現しています。
「多言語放送サービス」の導入により、駅係員が多くの外国人観光客から繰り返し問い合わせを受けていた内容を、多言語による案内放送でカバーできるため、問い合わせ件数自体も大幅に減少し、駅係員の応対業務の負担も軽減できました。

  • 天満橋駅の多言語放送サービスのタブレット
  • 天満橋駅の多言語放送サービスのタブレット

天満橋駅の多言語放送サービスのタブレット。ラックに設置して、またはタブレットを持ちながら操作して多言語放送を行うことができる。

  • タブレットの多言語放送サービスの操作画面。
    タブレットの多言語放送サービスの操作画面。誰でも簡単に操作できるインターフェースで、設置駅に合わせて用意された放送文章を選択して信頼性の高い多言語放送が可能。

インタビュー記事

「駅で外国のお客さまから問い合わせの多かった情報を、既存の駅放送設備を活用し、4カ国語による多言語放送で報知できる環境が整備できました。
駅係員への問い合わせも減り、京阪電車ご利用のお客さまの利便性・快適性の向上にもつながりました。」

京阪電気鉄道株式会社 営業推進部 駅サービス課

サービス推進担当 上撫 忠孝 様

「多言語放送サービス以外にも、駅の放送設備やインターホンもTOA商品を使用しています。駅を利用されるお客さまの利便性向上に貢献していただいています。」

京阪電気鉄道株式会社 電気部 信通課 信通設計係

山﨑 明夫 様

-「多言語放送サービス」の導入効果を教えてください。

上撫 氏

現在は京阪電車沿線の15駅で、4カ国語による案内放送を行っています。以前は駅係員が問い合わせに来られる外国のお客さまへの応対を行っていました。英語による応対については会社を挙げて社員教育を行っているので、今も駅によっては1対1での応対を行っています。今回、多言語放送サービスを導入した駅に関しては、4カ国語による多言語放送を行うことで、問い合わせの件数が大幅に減りました。とくに、京都駅へのアクセスの問い合わせが多かった祇園四条駅、堺筋線への乗り換えが複雑な北浜駅や中之島線が発着している天満橋駅、改札が大阪方面と京都方面で分かれている伏見稲荷駅、七条駅などでは顕著に減っており、お客さまの誘導もスムーズになりました。

案内放送を聞いた上で問い合わせされるお客さまもおられますが、さらに一歩進んだ質問となり私たちの応対の品質も上げることができます。お客さまにとっても利便性が向上していますし、私たちにとっても駅係員の負担がかなり軽減できていますので、望ましい状況になっていると思います。

また、駅ごとに放送したい内容を調査し、必要な文章を精査するのには苦労しましたが、結果的によりよいシステムになり苦労した甲斐がありました。音声合成による音声も、人がしゃべっているように自然でクリアに聞き取りやすいです。

-多言語放送サービス以外に、どのようなTOA商品を使用されていますか?

山﨑 氏

非常放送設備や案内放送は、ほとんどTOAの製品を使用しています。

また、サポートシステムと呼ばれるインターホンも京阪線全駅に設置して使用しています。昼間は駅係員が駐在している駅でも、夜間は一部の駅が無人駅になります。駅係員不在時でもお客さまの利便性を損なわないように、インターホンを設置して主要駅とつなぎ、音声を介して遠隔で問い合わせ対応を行っています。

-今後の展望をお聞かせください。

上撫 氏

今後ますます多言語対応の需要は高まってくると思います。京阪電車では、全駅のディスプレイに電車の運行状況を流しており、4カ国語で配信しております。全線としてはこの列車運行配信システムが一括して機能すればよいですが、駅単独となると細かな対応ができないため、今回導入した「多言語放送サービス」が不可欠です。

京阪全線・全駅一斉に配信する情報と個別の駅で配信する情報の棲み分けを行い、その両輪で京阪電車の車内・駅を便利に、快適にご利用いただける環境づくりにつなげていきたいと考えています。

京阪電気鉄道株式会社の概要
京阪電気鉄道株式会社

京阪電気鉄道株式会社は、1910(明治43)年4月に開業した、大阪・京都・滋賀の都市間輸送を担う鉄道会社。京阪線(京阪本線、鴨東線、中之島線、交野線、宇治線)、大津線(京津線、石山坂本線)、および鋼索線の8路線、営業キロ91.1kmを擁しており、年間輸送人員は約2.9億人(1日あたり平均乗降人員は約80万人)となっている。
遊園地「ひらかたパーク」を運営し、2017年には座席指定特別車両「プレミアムカー」の運行を開始するなど、「安全安心」の基盤のもと、「進取の精神」をもって、選ばれる鉄道の実現を目指している。

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