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デジタルワイヤレスとは?

現在、通信や放送システムの世界ではデジタル化が進んでいます。
ワイヤレスシステムでもデジタル化の流れは及んでおり、
デジタルワイヤレスは様々なシーンで使用されるようになりました。
そこで今回は、アナログとデジタルの違いに注目しながら、
デジタルワイヤレスのしくみと、メリットについて解説します。

デジタルワイヤレスのしくみ

音を図にすると波形を示しており、波形の幅の広さや高低で「音」を表現しています。
ワイヤレスマイクは、マイクに入力された音声の波形を電気の信号に変換し、チューナーへ無線伝送します。
その際、音声を波形のまま信号処理するものがアナログワイヤレスシステム、一方、音声をデジタル信号処理するものがデジタルワイヤレスシステムです。

詳しく説明すると、デジタルワイヤレスシステムとは、アナログ信号(波形)をデジタル信号(0と1のみで単純化した信号)に変換処理(1)して無線伝送した後、再びアナログ信号へと復元処理(2)し、拡声するしくみとなっています。伝送する音声情報をデジタル処理し単純化することで、ノイズに強くなり、クリアな音質が保てるなど、様々なメリットが生まれます。

デジタル処理によりクリアな音質に保てるのはなぜ?

デジタル信号処理により音質が向上する理由を知るため、アナログワイヤレスシステムとデジタルワイヤレスシステムの「D/U比」に注目してみましょう。 D/U比とは、希望波(D=Desire)と妨害波(U=Undesire)の比率のことを指します(単位はdB)。希望波は必要な信号のレベル、妨害波は妨害する信号のレベル、つまりノイズを表しています。妨害波が多く含まれるほどD/U比の値は減っていきます。つまり、ワイヤレスシステム においてD/U比とは、クリアな音質を保つのに必要な値と考えることができます。

そこで、アナログとデジタルのそれぞれのワイヤレスシステムに必要なD/U比を比較すると、アナログワイヤレスシステムで40dB、デジタルワイヤレスシステムで20dBとなっています。このように、デジタルワイヤレス システムの必要D/U比はアナログの20dB分有利なことから、より妨害波の多い状況でクリアな音質を復元できることが分かります。

デジタルワイヤレスのメリット

デジタルワイヤレスシステムは、そのデジタル処理によってノイズの影響を受けにくくなり、クリアな音質が保たれる以外にも、デジタルならではのさまざまなメリットがあります。

同一空間での多チャンネル使用

ワイヤレスマイクはそれ自体がノイズ源となってしまうため、同一空間で複数のチャンネルを使用する際は、相互変調妨害による干渉を回避するチャンネル配置が求められます。 アナログワイヤレスシステムの場合、電波の相互変調妨害を考慮すると、最も効率のよいチャンネル配置は下図【アナログ】のようになります。この配置では6チャンネルの同時使用が限界です。しかしデジタルワイヤレスシステムでは、“ノイズの影響を受けにくい”という特性から相互変調妨害が発生しても各チャンネルがその影響を受けにくく、下図【デジタル】のように等間隔のチャンネル配置が可能となり、結果として10 チャンネルまで同時に使用することができるようになります。


同一チャンネルの再利用

デジタルワイヤレスシステムは混信やノイズに強い事から、同一チャンネルの再利用(同じ周波数のマイクを同一空間で同時に使用)が行いやすくなるメリットもあります。アナログワイヤレスシステムの場合、同一空間で同じチャンネルを使用する際は、100 m以上離す必要がありましたが、デジタルワイヤレスだと、その距離を数十mまで縮めることができるため(※)、狭いエリアで多くのワイヤレスマイクを必要とするような現場(バンケットホールや会議場など)でも対応しやすくなります。

※受信アンテナの設置状態や、壁の材質、厚みなど部屋の状況によります。

セキュリティの向上

従来のアナログワイヤレスシステムは、音声信号をFM 変調により伝送していました。この方式では、一般的な広帯域受信機(FM ラジオなど)によって傍受されてしまう可能性があり、セキュリティ面で不安が残ります。一方デジタルワイヤレスシステムでは、デジタル変調による伝送のため、広帯域受信機で受信したとしてもノイズしか聞こえません。それにより、情報の漏洩を防ぐことができ、情報通信におけるセキュリティの向上につながります。

このようなメリットが得られるデジタルワイヤレスシステムにより、今後、通信や放送システムのデジタル化はますます進んでいくと思われます。

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