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音の聞こえる方向がわかるのはなぜ?

なぜ私たちは音の聞こえてくる方向がわかるのでしょうか。それは簡単にいうと「耳が二つあるから」です。要は、左右の耳それぞれに聞こえる音の、音量と時間の微妙な差を認識して判断しているということ。ただ、これは単純なことのように見えて、実は意外に複雑な仕組みなのです。

音方向の認識

正面からの音の場合

正面から来る音は、時間差、大きさの差もなく両方の耳に届くので、真正面から来ていることがわかります。

正面からの音の場合
右矢印前方からの音の場合

音源を右に少しずらすと、右耳のほうが音が大きく聞こえるだけでなく、音の届く時間も左耳よりも先になります。

右矢印前方からの音の場合
真横からの音の場合

真横から聞こえてくる場合は、反対側の耳に届くまでに、音が顔を回折(回りこみ)するため、時間差も大きくなり音質も変わります。

真横からの音の場合

音の方向を把握するためには、耳だけではなく耳たぶや頭の形などによる聞こえ方の違いが、さまざまな影響をもたらしています。特に、真上や真下、真後ろなどから聞こえる音と、真正面から聞こえる音を区別する場合、左右の耳と音源の距離だけでは区別できないはずです。そこで、耳たぶや頭の形といった自分の頭ならではの音響特性を脳が記憶し、その経験から音源の方向を判断していると考えられます。これを頭部伝達関数(HRTF)といいます。

また、人間の耳は左右水平についていることからも、水平の方向感覚の方が垂直の方向感覚よりもするどい分解能力をもっています。上下に移動する音よりも左右に移動する音の方がより正確に動きをとらえることができます。

方向がわかりやすい音とわかりにくい音

方向がわかりやすい音とわかりにくい音

基本的にはこういう仕組みなのですが、音の高さによっては音源の方向が判断しにくい場合があります。振動数が少ない低い音の場合は、障害物に当たった時に回折しやすい性質をもっているため、陰になっているほうの耳にも音が届きやすいのです。音が届きやすいということは、つまり方向を特定しにくいということです。逆に高い音は波長が短く回折しにくいため、音源の方向が特定しやすい性質を持っています。車のクラクションなどが高い音なのは、ちゃんとした理由があってのことなのですね。

音方向の認識を利用したサラウンドヘッドフォンの仕組み

方向がわかりやすい音とわかりにくい音

こういった、音が聞こえる方向を認識する仕組みを応用して、立体的に音を再現できるようにしたものがサラウンドヘッドフォンです。サラウンドヘッドフォンで映画を観ると、登場人物のセリフは画面中央から聞こえ、効果音は背後からリアルに聞こえてきます。それはまるで映画館のようです。どうしてこのように聞こえるのか、その仕組みを簡単に説明しましょう。

実際にスピーカーで音を聞いている時は、左のスピーカーの音も左右両耳で聞いており、その音量差、時間差、特性差により、私たちは方向性を認識します。さらにスピーカーから直接聞こえる音に加えて、室内の壁などからの反射音も耳に届きます。サラウンドヘッドフォンではそういった実際の室内における音響特性を、シミュレーションで再現し左右のヘッドフォン信号にミックスしているのです。

つまり、映画館で聞く場合と同じ成分の音を左右のヘッドフォンから聞くことで、実際に映画館と同じような臨場感が味わえるのです。

カンカン塔の見はり番

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