音のことば/は行

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ハース効果

同じ音が複数の方向から同じ音量で聞こえた場合、最も早く到達した方向に定位が偏って聞こえる現象をハース効果といいます。左右2つのスピーカーで全く同じ音を同じ強さで再生すると、その中間位置に音像定位しますが、たとえば、同じ状態で右の音に少し遅延を加えて再生すると、音像は中間位置より左側に定位しているように聞こえます。


ハイインピーダンス

ハイインピーダンスとは、機材、回路の入出力インピーダンスが高いこと、またはそのような入出力をもつ機材(スピーカーアンプ等)、回路をさします。アンプスピーカーの距離が長く、スピーカーをたくさん鳴らすときに使用します。
(例:デパートの館内放送、学校のチャイム、非常用放送など多数のスピーカーを使用する場合)
図のように、ローインピーダンスアンプスピーカーに「トランス」とよばれる変換器を取り付け、インピーダンスを高く変換したものです。アンプとスピーカ間の電送電圧を高くし、長距離の電送を可能にしています。接続スピーカー定格出力の合計値が、アンプ定格出力値以下になることが条件です。
(例:100Wアンプに1Wスピーカーなら100個まで、5Wスピーカーなら20個まで接続可能)

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→[関連用語]インピーダンスローインピーダンス


バイノーラル収音(バイノーラル録音)

ステレオ録音方式の一つで、人の頭部模型であるダミーヘッドに組み込まれたマイクロホンにより、人の耳に届く音声の状態を類似的に記録する方法です。バイノーラル収音された音声をステレオヘッドホンで再生すると、あたかもその場に居合わせたかのような臨場感で再現されます。


ハウリング

スピーカーから出た音がマイクから取り込まれ、アンプなどにおいて発振を起こし、「キーン」という騒音を発することです。スピーカーの出力レベルが大きい時に、マイクをスピーカーに近づけすぎると、よくハウリングが起きます。英語の「遠吠え(howling)」から、このように呼ばれるようになりました。

ハウリング

バウンダリー型マイクロホン

机の上や床面などに置いて使用される平たい薄型のマイクロホンで、目立たない、目障りにならないという利点があります。バウンダリー型マイクロホンは、会議などで用いられることが多く、広い範囲の音を収音できる広い指向性を持っています。


倍音

楽器のある音を鳴らした時に、その音以外に整数倍の高い周波数を持った音が同時に聴こえています。この音を倍音といい、たとえば440Hzの「ラ」の音を演奏した時に、2倍の880Hz、3倍の1320Hzといった音が同時に鳴っています。基本の周波数に比べると非常に小さい音量レベルですが、倍音があることによって、楽器の音色に華やかさや深みなどといった特徴が加わります。


バスレフ型スピーカー

バスレフ型スピーカーは、位相反転型とも呼ばれ、スピーカーユニット背面の音をダクト(ポート)により位相反転を行い、前面の音に加えることで能率を上げる仕組みになっています。
密閉型スピーカーに比べ、歪みの少ない低音を再生できます。


波長

音波の山から山(任意の点から、隣接する波の同位相の点でもよい)までの距離を波長といいます。波長をλ、周波数をf、音速をcで表すと、λ=c/fとなります。100Hzの波長は3.4m、1kHzの波長は34cmとなります。


バッフル

コーンスピーカーを単体で音を出した場合、コーン紙の前と後ろの音が互いに打ち消しあって、低音のない小さな音になります。これは、音の周波数が低いほど、打ち消しあいの現象が顕著に現れるためです。この音の打ち消し合いを防止するため、バッフルスピーカーを取り付け、大きな音と低音が出せるようにします。バッフルには天井、壁などが利用されます。


はね返りスピーカー

ステージモニタースピーカー


パブリックアドレス

パブリックアドレス(Public Address)は、広くは放送設備のことを意味し、一般的には、電気的な音響拡声装置の総称です。通常は略してPA(ピーエー)と呼ばれます。もともと英語のPublic Addressは「演説」という意味で、演説をマイクやアンプスピーカーなどで拡声したため、音響拡声装置がこう呼ばれるようになりました。


ハムノイズ

ハミングノイズの略で、交流電源の周波数(50Hzもしくは60Hz)が音声信号の中に混入することで発生する低い音の雑音のことです。主にスピーカーのケーブル(電線)から電源周波数が混入するため、シールドされた(内部配線の外側に金属の網目の部分が施された)スピーカーケーブルを使用するか、電源や電源ケーブルをスピーカーから離すといった手段で、ハムノイズを防ぐことができます。


パワーアンプ

スピーカーを駆動するためのアンプ(増幅装置)で、前段での増幅や音質調整などを行う「プリアンプ」からの出力をさらに増幅します。パワーアンプは「メインアンプ」と呼ばれることもあり、プリアンプパワーアンプ両方の機能を有するものを「プリメインアンプ」といいます。


反射音

音源から発射された音が、壁や床、天井などで反射された音のことをいいます。音源から直接伝わる音を「直接音」というのに対し、反射音のことを「間接音」と表現することもあります。


PA

PAとは、Public Addressの略で、劇場やホール、屋内や屋外などで聴衆に呼びかけるための拡声システムのことです。火災時などの避難誘導やBGM再生の固定設備のほか、移動設置用の拡声システム、選挙カーや電気メガホンなどもPAに含まれます。拡声以外にも音楽に使用される場合もあるため、そのときは特にSRと呼ばれる場合もあります。SRともに、野外での使用に耐えられるよう、堅牢性が求められます。


BGM

バックグラウンドミュージック(Back Ground Music)の略で、施設や店舗などで雰囲気を演出するためや、演劇や映画・テレビ番組などの映像の背景で流される音楽のことです。BGMはあくまで空間や舞台・映像の演出の要素であり、抑えた音量で流されます。
【参照:カクテルパーティー効果


歪み

広義では、物体に力を加えた時に生じる伸びや縮み、ねじれ、ゆがみなどを指しますが、オーディオの世界では、マイクやアンプなどに過大な入力があった際に、出力される音が正常でなく、ゆがんで聞こえるような現象を歪みといいます。


ピックアップ

「拾い上げる」という意味で、レコードプレイヤーでは、レコードの溝をなぞる針の振動を電気信号に変えて、音声を再生する部分をピックアップといいます。同様にCDやDVDプレイヤーにおいては、レーザー光を発し、ディスクからの反射光を受けてその情報を音声信号に変換する部分やユニットを指します。


ビット

デジタル信号を表す最小単位で、1ビットは「0」と「1」の2つの値を持ち、1ビット増えるごとに表現できる数は2の「ビット数」乗になります。CDなどに採用されている16ビットの機器は、2の16乗、即ち65,536個のデジタル信号を伝送できることになります。ビット(bit)は、binary digitの略で、「2進法」の意味です。


ピンクノイズ

ピンクノイズとは、全ての周波数成分を含んだノイズです。室内の音響特性などの測定、シンセサイザーの音源などに使われます。ピンクノイズはオクターブあたりのエネルギーが全ての周波数に渡って同じため、低域の音が強く聴こえ、「ザー」という感じになります。この「ピンク」の名の由来は、光線に例えると赤の色の光に近いことからです。


ピンマイク

=タイピン型マイクロホンラベリア型マイクロホン


ファンタム電源方式

コンデンサーマイクロホンを作動させるには高い直流電流が必要ですが、その電源を電池から供給するのではなく、アンプミキサーからマイクケーブルを通して供給する方式をファンタム電源方式といいます。ファンタム電源は直流48V(ボルト)で、多くの機器においてキャノンコネクタータイプのケーブルを用いて供給します。


ブームスタンド

ブームは先端にマイクを取り付ける細長い棒のことで、ブームが付いたマイクスタンドをブームスタンドといいます。スタンドそのままの高さより、高さの自由度が大きくなります。コンサートなどのステージで広く使用されています。


フェーダー

音量を連続的に増減させるための装置で、一般的には音響調整卓などに装備されている音量レベルを上げ下げするためのスライドボリュームのことを指します。フェーダーにより、徐々に音量を下げていき音を消すことを「フェードアウト」といいます。


フライングスピーカー

ステージの上部に吊り下げて使用されるスピーカーのことです。フライングスピーカーでは、ステージの上にスピーカーを置く場合より、客席とスピーカーの距離を比較的均等にすることができ、会場内において均一な音圧や音質を得ることができます。


フランジャー

フランジャーは、遅延回路を内蔵したエフェクターの一種で、ごくわずかに遅れた音が元の音に干渉する効果を利用して、ジェット機が上昇や下降する際のような特殊な音や、うねるような音響効果を作り出します。もともとテープに録音した音を再生中にテープリールのふちの部分(フランジ)を手で触ることで回転を微妙に変えて、同じような効果を得ていたことから、このように呼ばれています。


プリアンプ

プリアンプの「プリ」は「最初」や「前段」を意味し、通常プレイヤーとメインアンプパワーアンプ)の間に接続されます。プレイヤーから入力された弱い信号を増幅するほか、音域ごとのバランス調整などの機能を持っています。プリアンプメインアンプの機能を併せ持った機器を「プリメインアンプ」といいます。


フルレンジスピーカー

フルレンジスピーカーとは、全帯域スピーカーのことを指し、ひとつのスピーカーで低域から広域まで再生できるスピーカーです。主として、大音量を必要としないスピーカーシステムに多く使われています。


プロセニアムスピーカー

劇場の客席から見てステージを額縁のように区切る構造物を「プロセニアムアーチ」といい、その上面に取り付けられたスピーカープロセニアムスピーカーといいます。スピーカーから各客席への距離差が少ないため、客席内の均一な音場を得ることに重要な役割を果たします。


フロントローデットホーン

コーン型スピーカーユニットから発せられる低音をホーンにより増幅する方式のスピーカーシステムです。フロントローデットホーンには、通常まっすぐで短いホーンが使われます。


平衡形と不平衡形

シールド線の種類として平衡形と不平衡形があります。平衡形とは、内部の信号線(芯線と呼んでいます)が2本で、コネクタも平衡形のタイプのことです。不平衡形とは、内部の信号線が1本で、外網を信号線の一つとして共用したタイプのことです。また、内部の信号線が2本でも、コネクタの部分で内部の配線を一緒にしているコードも不平衡形ですので注意してください。

→[関連用語]シールド線


平面波

伝わる方向に対し波面が垂直で、平面の状態で進んでいく音波のことです。平面スピーカーなどの面全体が同一方向に振動する面音源により発生させることができます。音源からの距離による音圧の減衰が少ないことと、音の広がりが少ないことが平面波の特徴です。

平面波

【参照:球面波


ヘッドアンプ

機器に内蔵されているアンプのことで、入力された信号を最初に増幅するアンプです。特にミキサーでは、マイク入力から入った信号が最初に通るアンプの事をヘッドアンプといいます。


ヘルツ(Hz)

ヘルツとは、周波数や振動数の単位(Hz)のことで、正弦波の1サイクルが1秒間に何回繰り返されたかを表します。たとえば、商用電源の周波数である50Hzは1秒間に50回、 60Hzでは60回繰り返すことを意味しています。電波の存在を実験で証明したドイツの物理学者ハインリヒ・ヘルツ(Heinrich Hertz)の名前に由来しています。


ホーンスピーカー

ホーンスピーカーとは、振動板からホーンの狭い喉部に音を放射するため音圧が高くなり、徐々に放射面の大きくなるホーンを通り、広い開口面から効率よく音を放射するスピーカーのことです。コーンスピーカーと比較して、放射能率が良く音も大きいが、帯域が狭いのが難点です。振動板の後ろの面が密閉された構造のものが多く、エンクロージャーは不要です。


ポップノイズ

響機器に電源を入れる際やスイッチの切り替え時などに出る「ポッ」という雑音や、マイクロホンでの拡声の際に「パ」や「ポ」などの特有の音声が低音域で強調されてしまい雑音のように聞こえる現象のことをポップノイズといいます。マイクロホン使用時に起きるポップノイズは、ウインドスクリーンの使用や、イコライザーミキサーの低音をカットするフィルター機能で調整することにより、軽減することができます。

ポップノイズ

ホワイトノイズ

ホワイトノイズとは、全ての周波数成分を含んだノイズです。各種の音響測定に使われるほか、シンセサイザーで自然の音(風の音など)を作り出す場合の音源になります。この「ホワイト」の名の由来は、太陽光線に代表される、全ての周波数を含んだ光が白色であることからです。ホワイトノイズは1Hzあたりのエネルギーが全ての周波数に渡って同じため、高域が上がったように聴こえ、「シャー」という感じになります。


ホン

音の強さを表す物理的な単位としてデシベル(dB)が使用され、感覚的な基準としてホンを用います。物理的な数値であるデシベルと人間の耳に入ってくるホンは、だいだい同じものと考えて結構です。しかし人間は、聞き取りやすい周波数と聞き取りにくい周波数があり、この周波数によってはデシベルとホンの関係が大きく異なります。
例えば、1000Hzの周波数音波が、人間の耳でやっと聞き取れる気圧変化で振動している状態が0.00002パスカルであり、それを0dBと定め、0ホンと呼んでいます。

→[関連用語]デシベル