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ダイナミックマイクロホン

ダイナミックマイクロホンとは、振動板、ボイスコイルおよび磁気回路から構成されるマイクロホンのことです。振動板が音波で駆動されると、振動板に固定されたボイスコイルが磁気回路の磁界中で振動し、電磁誘導作用によって音圧に比例した電気信号を生じます。ダイナミックマイクロホンは電源(電池)が必要なく、比較的丈夫で、温度、湿度の影響を受けにくい。そのため動作が安定し、使いやすいため、不特定多数の人が利用することが多い場所で、広く使われています。

ダイナミックマイクロホン

ダイナミックレンジ

音響機器が再現できる信号の最大値と最小値の比率のことで、dB(デシベル)で表されます。アンプでは、一般的に最大出力レベルと雑音レベルとの比をダイナミックレンジといい、その値が大きい程、機器の許容能力や再生能力が高いとされます。


ダイバシティ方式

ワイヤレスマイクロホン装置において、受信機に2系統のアンテナと音声復調回路を備え、より良好な方の信号を常に自動的に選択する方式をダイバシティ方式といいます。


タイピン型マイクロホン

ネクタイピン状の金具(クリップ)に取り付けられた小型のマイクロホンで、「ピンマイク」や「ラベリア型マイクロホン」とも呼ばれます。タイピン型マイクロホンは、通常襟元や胸元に装着して使用します。


卓上型マイクロホン

演壇やテーブルの上に置いて使用されるマイクロホンです。卓上型マイクロホンは、通常スピーチやアナウンスなどの用途に用いられることが多く、話者の声を強く拾えるように単一指向性を有しています。


DAT

「Digital Audio TapeまたはDigital Audio Tape recorder」の略で、音声をデジタル信号として記録・再生するためのカセット型磁気テープ、もしくはその録音・再生機器のことをいいます。テープは3.81mm幅で、回転ヘッドを用い、PCM(パルス符号変調)方式により音声をデジタル化します。標準的な最大録音時間は120分です。


ダミーヘッド

樹脂などで作成された、人の頭部模型のことで、耳の部分にマイクロホンを取り付けて録音を行います。ダミーヘッドを用いて録音された「バイノーラル収音(バイノーラル録音)」では、ステレオヘッドホンによる再生で高い臨場感を得ることができます。頭部模型とマイクロホンを含めた録音システム全体をダミーヘッドと呼ぶこともあります。


単一指向性マイクロホン

前面の音を強く拾い、側面や背面からの音に対し感度の低い特性を持ったマイクロホンのことです。単一指向性マイクロホン指向性は、「カーディオイド」という逆ハート型のパターンになります。


チャンネルディバイダー

高域・中域・低域用など、複数のスピーカーをそれぞれ別のアンプで駆動するために、フィルター機能により、それぞれのアンプに供給する音声信号の周波数帯域を分割する機器です。「チャンネルフィルター」や「クロスオーバー」と呼ばれることもあります。


チューナー

広くは「同調回路」のことで、ラジオやテレビなどの放送を受信して音声や映像に変換する機器やユニットのことです。チューナーは選局や同調の機能を持っており、アンテナから入力された電波を音声・映像信号に変換しますが、その電力が微弱なため増幅機能を内蔵している場合もあります。


聴感補正

人の耳は、音圧レベルが低くなると、低音域と高音域の音が聴き取りにくくなるという特性を持っているため、音声信号などの測定を行う場合に、人の耳の感度が低い周波数成分を低下させ、耳の感覚に合う測定値を得られるようにする補正を行う必要があります。その補正を聴感補正といい、周波数の特性を「聴感周波数曲線」といいます。
【参照:ラウドネス等感度曲線


ツィーター

マルチウェイスピーカーシステムにおいて高音域を受け持つ高音用スピーカーユニットのことで、英語で小鳥のさえずりを意味するツィート(tweet)からこう呼ばれるようになりました。ツィーターは、通常5kHz以上の高い周波数帯域に特化していますが、この帯域には楽器の倍音成分などが多く含まれ、スピーカーの音の美しさや解像度などを左右する重要な要素となります。


定位

ステレオやマルチチャンネルのオーディオ再生装置で音楽を聴いた時に、音場の中で楽器やボーカルなどの音源の方向や距離感が定まることを定位といいます。たとえばスピーカーなどを評価する際、音像がきっちりと定まる場合に「定位がいい」と表現します。


D/A変換

D/A変換とは、デジタル信号をアナログ信号に変換することです。
【参照:A/D変換


DSP

DSPはデジタルシグナルプロセッサー(Digital Signal Processor)の略で、デジタル信号処理専用の1チップのマイクロプロセッサー(集積回路)です。リアルタイムで音声や映像の処理をすることができ、オーディオにおいては、残響効果やサラウンド効果を得る場合によく使用されます。


定格出力

アンプなどの音響機器の出力レベルを表す指標で、ある特定の周波数、負荷抵抗、歪み率を決め、歪み率がその値に達した時の出力値を定格出力といいます。通常、単位はW(ワット)で表現されます。


定格入力

スピーカーに加えることのできる入力レベルの指標で、連続して加えても異常音や破損が生じない入力値のことを定格入力といいます。JIS規定では、信号にホワイトノイズを使い、指定されたフィルターを通してスピーカーに加え、96時間以上異常が生じない時の最大入力レベルとされており、W(ワット)の単位で表されます。


定在波

広い意味では同じ波長周波数を持った2つの波がお互いに干渉し、波が進行せずにその場に止まって振動しているような状態を定在波といいます。オーディオにおいては、スピーカーから出た持続する音が、壁や床や天井の間を反射して行ったり来たりすることにより、特定の周波数で干渉し合い、ある場所では音圧が強く、また、別の場所では音圧が弱くなるような状態をいいます。スピーカーの位置を変えたり、壁面に吸音材を貼ることなどより、定在波の影響を軽減することができます。


定指向性ホーン

水平・垂直両方向とも、指向特性が周波数によって変化せず、均一な放射パターンが得られるホーンスピーカーです。定指向性ホーンには、形状などにより、CDホーン、バイラジアルホーン、マンタレーホーンなど、各種の名称が付けられています。


ディストリビューター

ディストリビューターとは、大規模な音響システムなどで、ひとつの出力から多系統に信号を送り出すための機器のことです。パラレル接続や、機器のブリッジ端子で分岐させることも可能ですが、負荷インピーダンスが低くなり、送り出し側が十分にドライブしきれず、レベルの低下や音質の悪化を生じさせます。特に高音質を必要とする場合は、パラレル分岐はせず、ディストリビューターで信号分岐を行なうことが望ましいです。


ディレイ

ディレイとは、音声信号を遅延させるための信号処理機器のことです。用途として、1.音を遅らせることで、明瞭性を上げる。2.タイムアライメントの補正。3.ハース効果による音像定位への応用。などがあります。


テープレコーダー

磁気テープを用いて録音および再生を行う機器の総称で、一定の速さで回転する磁気テープを録音ヘッドのコイルに流れる信号電流によって磁化させ、音声を記録します。テープレコーダーには、オープンリールテープを用いるもの、カセットテープを用いるものなど、さまざまなタイプのものがあります。また、スピーカーを持たない「テープデッキ」と区別して、スピーカーを備えて単体でも音が出せるものを指す場合もあります。


デシベル

音の強さを表す物理的な単位としてデシベル(dB)が使用されます。これは人間の聴覚や視覚が、物理的な強さが10倍、100倍となっても数倍から10倍程度にしか感じられず、ちょうど数値的な値が対数に比例しているためです。

→[関連用語]ホン


点音源

広くは、ひとつの小さな点から音を放射し、すべての方向に同じ強さで伝わっていく音源のことです。音は本来360°の全方向に拡散して伝わるので、発音体であるスピーカーが小さいほど理想の音の伝わり方である球面波に近づきます。一般的には、スピーカーなどで、音を出す部分の面積が可聴帯域の音の波長に対して充分に小さい場合を点音源といいます。

点音源

天井埋込型スピーカー

シーリングスピーカー


等感度曲線

人が聞き取れる音の周波数は一般的に20Hz~20kHzですが、音圧レベルが等しい音であっても、周波数によっては音の大きさが異なって聞こえます。その特性を示すために、正常な聴覚を持つ人が等しい大きさに感じる純音の音圧レベルを周波数の関数として表した曲線が等感度曲線です。
【参照:聴感補正ラウドネス


同期

広い意味では動作などのタイミングを合わせることを意味します。複数の機能の動作の周期やテンポがずれないようにすることで、シンクロという場合もあります。また、複数の機能を同じように動作進行させるタイミングを合わせるための「同期信号」のことを同期と呼ぶこともあります。


トーンコントロール

アンプなどの音響機器における音質を可変させるための調整機能のことです。一般的にアンプには、高域を調整する「トレブル」、低域を調整する「バス」、高域・低域両方を強調する「ラウドネス」などのトーンコントロール機能があります。用語としては、周波数帯ごとにレベルを調整できるイコライザとは区別して使われます。


トーンゾイレ型スピーカー

トーンゾイレとはドイツ語で「音の柱」という意味で、口径の小さなスピーカーユニットを縦方向に並べた柱状のスピーカーシステムをトーンゾイレ型スピーカーといいます。大きなスピーカーユニットのような音を得ることができ、小さなユニットとは思えない低音感を得ることができるのが特徴です。コラムスピーカーともいいます。


ドライバーユニット

ホーンスピーカーの駆動部のことで、ホーンを取り除いた部分がドライバーユニットになります。広い意味では、スピーカーやイヤホンなどにおける発音部分を指し、電気信号をコイルや振動板により振動に変換します。


トラック

磁気テープやコンパクトディスクなどの記録メディアに、音声信号や映像信号、制御信号などを記録する帯状の領域のことをトラックといいます。データが断続しているデジタル信号の記録でも、イメージとしては信号ごとに帯状の領域がトラックです。また、信号を記録する記録部(トラック)の幅をトラック幅といいます。