TOA株式会社 62期有価証券報告書
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当連結会計年度における日本経済は、企業収益に一部改善が見られるものの、景気回復の自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況が続いております。当業界におきましても官公庁や民間の設備投資計画が停滞しており、全般的な需要の回復に至っておりません。 海外においては、アメリカ地域では金融危機による市場全体の冷え込みが依然として続いております。ヨーロッパ地域はギリシャなどの財政危機もあり景気回復が遅れています。アジア地域では、中国における高速鉄道などの交通インフラ整備による内需拡大効果により景気向上の兆しが見え、また上海万博の開催などによる需要が拡大しました。 このような状況の中で、当社グループは、音響分野、セキュリティ分野ともに新商品の導入や商品ラインナップの充実を図ってきましたが、景気低迷の影響を受け販売の拡大にまでには至りませんでした。また生産面では、国内・海外の生産拠点における生産性の向上に努め、引き続きコスト競争力の強化に取り組んでまいりました。 売上高は、31,193百万円(前連結会計年度比△3,681百万円、10.6%減)となりました。 国内販売は、官公庁や民間の設備投資停滞の影響を受け、20,511百万円(前連結会計年度比△1,819百万円、8.1%減)となりました。 海外販売は、アメリカ地域では金融危機の影響による市場全体の冷え込みが続いており、チェーン店舗向けのBGMアンプの需要が減少しました。ヨーロッパ地域では非常放送機器の規格認証義務化に備えた活動により仕様化・指名化を目指していますが、英国市場は金融不況の影響から依然脱却できず低迷しています。アジア地域では、中国の高速鉄道や上海万博物件へのPAシステムの納入が進みました。この結果、海外販売は、10,681百万円(前連結会計年度比△1,861百万円、14.8%減)となりました。 利益面では、販売費及び一般管理費の抑制効果があったものの、売上高の減少が大きく影響し、営業利益は1,688百万円(前連結会計年度比△1,157百万円、40.7%減)、経常利益は1,756百万円(前連結会計年度比△1,086百万円、38.2%減)となりました。また特別損益では、投資有価証券売却益141百万円を特別利益に計上しました。一方で投資有価証券評価損222百万円、英国の子会社清算に伴う関係会社整理損失引当金繰入額113百万円、製品の改修費用の支出に備えた製品保証引当金繰入額459百万円を特別損失にそれぞれ計上しました。 これらの結果、当期純利益は1,009百万円(前連結会計年度比△697百万円、40.8%減)となりました。 ① 事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりであります。 (音響セグメント) 音響セグメントの連結売上高は24,196百万円(前連結会計年度比△3,433百万円、12.4%減)、営業利益は3,809百万円(前連結会計年度比△1,096百万円、22.3%減)となりました。 国内販売は、地方自治体が主体となって推進する“防災行政放送システム”へのIP告知端末の納入や防災無線用スピーカーなどが増加しましたが、大型商業施設などの民間需要の落込みにより売上は減少しました。 海外販売は、中国での高速鉄道需要や上海万博パビリオンへの放送設備需要があったものの、アメリカ地域での設備投資の縮小や欧州地域での新電波法による現行ワイヤレスシステムの買い控えが発生し売上は減少しました。 これらの結果、営業利益は販売費及び一般管理費の抑制に努めましたが、前連結会計年度に比べ減少しました。 第2 【事業の状況】1 【業績等の概要】(1) 業績10/101

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