東京スカイツリータウン®

「東京スカイツリータウン<sup>®</sup>」のイメージ画像

東京の新たな観光名所となった大型複合施設の来場者にとって、「安心・快適」に楽しめる、きめ細かな対応が可能な音響システム。

概要

江戸の下町風情を残す浅草、両国にほど近い墨田区押上に誕生した、世界一高い電波塔「東京スカイツリー®」、商業施設「東京ソラマチ®」、プラネタリウム、水族館、オフィスビル、教育関連施設などから構成される大型複合施設「東京スカイツリータウン」。開業前から注目を集め、2012年5月22日の開業以来、連日国内外から多くの来場者で賑わっています。東京の新たな交流、観光、産業拠点として、また地域社会の活性化への牽引役としての貢献が期待されています。

TOAでは、東京スカイツリータウンの音響システムの納入を通して、幅広いお客さまがそれぞれの施設やイベントで安心・快適に楽しんでいただける音空間と、スタッフによるきめ細やかな対応が可能な音響システムを実現しました。

納入情報

納入先 東京スカイツリータウン 様
納入品 非常業務用放送設備 FS-971
スマートマトリクスシステム「SX-2000シリーズ」
天井埋込型スピーカー
デジタルミキサー「D-901シリーズ」
納入時期 2012年2月
採用背景 今回の採用は、「東京スカイツリー」を含む大型複合施設である「東京スカイツリータウン」に来られる国内外からのお客さまに備えた施設づくりの観点から、案内サインのほかに音声によるインフォメーションが重要視されました。運営は3街区(タワーヤード、ウエストヤード、イーストヤード)に分かれ、さらに施設ごとに館内放送を使用する目的や用途が異なるため、放送エリアや音源を細かく設定できる点などが評価され、採用に至りました。

課題と解決のポイント

課題

  • 東京スカイツリータウン3街区(タワーヤード、ウエストヤード、イーストヤード)にわたる大規模施設を円滑に運営するために、放送内容や音量を細かなエリアごとに行える音響システムにしたい
  • 各フロアの目的、イメージに合った音響、放送で、お客さまに快適に楽しんでいただきたい
  • 近隣で開催される隅田川花火大会では、東京スカイツリーの展望台においても、目だけでなく、音による演出でお客さまに楽しんでいただきたい

解決のポイント

  • 3街区それぞれの非常業務用放送設備の業務放送機能をLANでリンク。3街区の業務放送機能を共通化
  • フロア、エリアを細かく区分し、それぞれ設定された音源・音量・音質で各フロア・エリアに最適な館内放送を実施
  • 指向性の強い集音マイクをスカイツリーの塔体に設置。花火の音を集音し、最適な音質に調整して天望デッキ・天望回廊で放送

詳細

背景

まざまな目的で大型複合施設に来場されるお客さまに対して、案内サイン以外の音によるインフォメーションと演出を検討。

東京スカイツリータウンは、東西長さ約400mのエリア、地下1階の駐車場から東京スカイツリーの天望回廊の高さ450mまで、広範囲にわたって放送設備を整備していかなければなりませんでした。また、商業、エンターテインメント、文化、ビジネス施設を備えた東京の新名所に、さまざまな目的を持ったお客さまが多数来られることが想定されたため、お客さまを混乱なく案内・誘導する必要がありました。
具体的には、海外観光客や障がい者の方の来場も考慮したコミュニケーションを通じて、お客さまへのサービスの向上と運営面での充実が設計当初より検討されてきました。案内サインやマップに関しては5カ国語(日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字))に対応しているほか、手話ができるスタッフも採用されるなど、ユニバーサルデザインを目指した環境づくりとともに、運営面でも同様の取り組みが検討されてきました。その中でも、特に重要だと位置づけられたのが音声によるインフォメーション、館内放送および音演出でした。

課題

エリアごとに異なるインフォメーションでお客さまをスムーズに誘導し、施設に合わせた最適な音演出で満足して帰っていただくために。

東京スカイツリータウンでは、施設やフロアによって、担う役割が全く異なります。たとえば、東京スカイツリーでは1Fは団体のお客さまのロビー、4Fは出発ロビー、5Fは天望デッキや天望回廊から降りてこられたお客さまのロビーになっています。それぞれのフロアで閉館時間も異なるため、同じ施設内だからといって同じ内容の放送を行うのではお客さまへのサービスが低下し、イメージダウンにもなってしまいます。東京ソラマチや、すみだ水族館も同様です。エリアの区分を細かく分けて、その施設、フロア、エリアに最適な案内放送を提供する必要がありました。
また音演出面でも、東京スカイツリーの1Fは国内外の団体観光客をお迎えするエリアとして江戸・東京の伝統文化をイメージ、4Fは出発ロビーとして気持ちを高めるようなイメージ、展望台では眺望の広がりを実感していただくイメージと、フロアごとに趣向を凝らした演出が検討されました。
つまり、お客さまの利便性、満足度を高め、再度来場していただけるような環境づくりが最大の課題でした。

解決策

スマートマトリクスシステム「SX-2000シリーズ」により、ネットワーク化・デジタル化を活用した音響システムを構築。
フロアやエリア区分を細分化し、きめ細かな館内放送を実現。

3街区(タワーヤード、ウエストヤード、イーストヤード)に分かれる大型複合施設の放送システムをどのように構築していくかが大きなポイントになりました。大規模施設の放送システムを構築するスマートマトリクスシステム「SX-2000シリーズ」を3街区に設置し、それぞれを光ネットワーク回線で結ぶ「SXリンク」をご提案しました。3街区全てが統括された業務放送システムを設計することにより、どの音源をどの街区のどの施設、フロアやエリアに放送するかを細かく設定することができます。また館内放送は、日本語、英語の2カ国語に対応しています。
東京スカイツリー以外に、商業施設「東京ソラマチ」や「すみだ水族館」、「コニカミノルタプラネタリウム“天空”in 東京スカイツリータウン®」にもTOAのスピーカーが多数設置され、最適な音演出や案内放送が提供されています。

  • 寝転がって、634mの東京スカイツリーの景色を楽しめるベンチシートのあるエリアではTOAのホーンスピーカーが心地よいBGMを提供。
  • 商業施設「東京ソラマチ」の館内放送用の天井埋込型スピーカー。
  • 「すみだ水族館」にもTOAのスピーカーが活躍中。

インタビュー記事

「10年、20年…、それから50年、100年と長きにわたって、 お客さまに喜んで足を運んでもらえるタワーになれるよう、 音響だけでなくさまざまな設備を整備してお客さまを迎えたい。」

東武タワー スカイツリー株式会社

電波塔事業本部 施設統括部

藤澤 彬誠 氏

-音響システムの使い勝手はいかがですか?

開業から特に大きな混乱もなく、館内放送やインフォメーションができており、とても満足しています。細かなエリア区分で放送内容や音量を的確に切り替えられ、運営スタッフの操作面での負担も軽くなっています。設計の段階から、音によるインフォメーションは重要だと考えていました。目で見る視覚情報に頼る案内サインだけでは、見落としてしまった時点で、お客さまは迷われてしまいます。耳からの音声情報もあわせて提供することで、お客さまをより正確に導くことができると考えています。
また、館内放送でカバーできない細かなお問い合わせに関しては、スタッフが個別で対応しています。スタッフのスムーズな連携にも、放送システムの活用は欠かすことができません。英語以外の外国語を話せるスタッフや、手話ができるスタッフもいますので、今後も経験を重ねていくことで、お客さまにさらなる万全の対応を行っていきたいと考えています。また、お問い合わせの多い内容に関しては、館内放送によるインフォメーションの追加も検討していきます。

-隅田川の花火大会では花火の音を展望台に拡声されたとか?

花火大会はスカイツリーから間近に見える隅田川で開催されるため、当初から注目されていました。我々としても、隅田川花火大会を取り入れた企画はスカイツリーにとって必要不可欠だと捉え、花火を目で楽しむ以外に迫力のある音をどのように伝えるか、設計の段階から悩んでいました。最終的には塔体の鉄骨部分に、非常に指向性の強い集音マイクを設置し、音質を調整して展望台に音を流すこととなりました。 今年は7月28日に花火大会が行われ、2カ所の展望台には186倍の抽選をくぐりぬけたお客さま約700名の方に上がっていただきました。当日はおよそ2万発の花火が打ち上げられ、響き渡る花火の音を耳にしながら、200メートルの高さに広がる花火を見下ろすかたちで、楽しんでいただけました。

-今後の展望をお聞かせください。

2年目、3年目と時の経過に合わせて、花火大会以外のイベントも増やし、内容に合わせた効果的な音演出が行えるようにしていきたいですね。また、開業当初に想定していたお客さまの導線や滞在時間が変化してきています。10年、20年…、それから50年、100年と長きにわたって愛されるタワーとして、さらにお客さまに快適に過ごしていただけるように改善・改良を続けていきたいと考えています。 特に墨田区は、かつて関東大震災や東京大空襲を経験しており、防災の意識は強いものがあります。災害発生時にタワーの中にいるお客さまへの対応はもとより、地元住民の方の避難施設として物資の備蓄なども行っております。万が一、災害が発生した際に備え、万全な態勢が整えられるように配慮していきます。

東京スカイツリータウンの概要

東京スカイツリータウンは、東京都墨田区押上に2012年5月22日に開業した大型複合施設。とうきょうスカイツリー駅と押上駅に直結し、両駅を囲む東西長さ約400mのエリアに、電波塔、商業施設、プラネタリウム、水族館、オフィスビル、教育関連施設、展望施設などが集まっている。開業から2カ月で来場者数1,000万人の大台を突破するなど、東京から世界へと発信される新しいコミュニティとして、今後もますます期待が集まっている。
中でも、自立式電波塔「東京スカイツリー」は最高高さ634mで、2012年時点で、現存する電波塔として世界第1位を誇り、ギネス世界記録(TM)にも認定されている。

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