大野市本会議場 様

「大野市本会議場」のイメージ画像

映像配信、電子投票、難聴者への配慮など、 新しい大野市本会議場の開かれた議会運営をサポート。

概要

かつての城下町の面影や歴史的な街並みから、「北陸の小京都」としても知られる福井県大野市。2013年よりブランドキャッチコピーを「結の故郷(ゆいのくに)越前おおの」と定め、未来の子どもたちのために、「元気なまち」、「住んで良かったと実感できるまち」、「子や孫に誇れるまち」、「心豊かな教育のまち」の実現を目指したまちづくりを推進しています。
大野市では、50年近く使用されていた庁舎が老朽化のために建て替えとなりました。TOAでは、対面式でユニバーサルデザインの新しい議場への有線会議システム、議会運営ソフトウェアの納入を通して、開かれた大野市議会の運営をお手伝いしています。

納入情報

納入先 大野市 様
納入品 有線会議システム TS-910シリーズ
議会運営ソフトウェア(操作用タッチパネル)
デジタルミキサー D-2000シリーズ
デジタルパワーアンプ DA-150FH
広指向性天井埋込型スピーカー F-2351C
納入時期 2014年11月
採用背景 老朽化が進んでいた大野市庁舎が、2014年に新庁舎に建て替えられることになり、大野市本会議場も一新されることになりました。議会等改革推進特別委員会を立ち上げ、他自治体議会を視察。議会の在り方や運営方法などから検討が行われました。

課題と解決のポイント

課題

  • 議会の模様を、映像で広く市民に向けて配信したい
  • 起立採決から電子投票による採決に移行したい
  • ユニバーサルデザイン、対面式レイアウトの新しい議場にふさわしい、誰もが聞きやすい議会環境を構築したい

解決のポイント

  • 映像配信用のカメラを導入。有線会議システム、議会運営ソフトウェアの導入により、議会の模様を庁舎内にリアルタイム配信。後日、編集した映像をインターネット配信
  • 議会運営ソフトウェアの電子投票機能により、採決内容や結果を議場内のモニターに表示。議会の見える化に対応
  • マイク(議長、参加者)ユニットやデジタルミキサー、広指向性天井埋込型スピーカーなどの採用で、聞き取りやすい音空間を構築
  • 難聴者が議員席や理事者席、傍聴席で議事の内容を聞くことができるよう、難聴者補助システムを導入

詳細

背景

50年近く使用した大野市庁舎が老朽化のため建て替えに。

以前の大野市庁舎が建てられて、約50年が経過しました。大野市の議場では、マイクや録音機器は途中で交換していますが、設備のほとんどは50年前から使用してきたもので、老朽化が進んでいました。
会議録作成のために反訳機を導入していますが、録音がしっかりされておらず正しく反訳されないということがありました。また、スピーカーの音が急に小さくなったり、ハウリングなどが突発的に発生することもあり、難聴者への対応にも苦慮しました。

課題

開かれた大野市議会として、音声に加えて、議会の映像配信、電子投票の導入を検討。

新庁舎への建て替えが決まり、大野市議会でも具体的に新しい議場の在り方や運営方法について特別委員会を立ち上げ、他の自治体への視察や議論が重ねられました。議会の基本条例もこの特別委員会の中で作成され、開かれた議会への取り組みとして、情報公開を実施していくことが盛り込まれました。
そのため、従来から行われていた庁舎内への議会の音声配信に加えて、議会映像の庁舎内へのリアルタイム配信、編集した議会映像のインターネット配信が検討されました。また、従来は起立採決(異議がない場合は簡易採決)を実施してきましたが、それを電子投票に置き換えることもあわせて検討されました。
そのほか、新しい大野市の議場は対面式のレイアウト、ユニバーサルデザインの導入が予定されていました。施設面だけでなく、難聴者でも不自由なく議事の内容を確認できるような環境づくりなども求められました。

解決策

対面式、ユニバーサルデザインの議場に相応しい音環境。映像配信や電子投票などの見える化、情報公開にも対応。

新しい大野市の議場は、議長が理事者と議員の中立の立場で議事を進行する観点から、議長席が理事者席と議員席の中央にレイアウトされた対面式議場レイアウトが採用されました。また、ユニバーサルデザインが採用され、車いすの議員、理事者や傍聴者がおられても対応できるように、フラットな床になっています。
この新しい大野市の議場用システムとして採用されたのは、有線会議システムTS-910シリーズです。さらにデジタルミキサーD-2000シリーズのハウリング抑制機能など多彩なデジタル信号処理技術や、広指向性天井埋込型スピーカーF-2351Cの採用により、均一で明瞭性が高く聞き取りやすい音環境を実現しています。
映像配信用のカメラも議場内の3カ所に設置され、議会運営ソフトウェアの操作で庁舎内へはリアルタイムに映像を配信、編集した映像はインターネットを通じて公開しています。また、今までは起立採決を実施してきましたが、各議員の賛否の公開に正確さを期するため、電子投票へ移行しました。賛成の議員は賛成ボタンを押す、反対の場合は何も押さない、態度保留や棄権の場合は議場から退席するという運用で採決を実施しています。以前の議場用システムと比較しても機能は大幅に増えていますが、使いやすい議会運営ソフトウェアにより操作の負担軽減に貢献しています。
また、大野市の議場では「難聴者補助システム」も導入されています。議員席や理事者席では、マイクユニットにヘッドホンをつなぐことで、議会の内容を聞くことができます。傍聴席でも、ヘッドホン(赤外線受信機)が用意されており、全席で議会の模様を聞けるように配慮されています。

  • 議長席にはグースネック型コンデンサーマイクEM-800が設置されている。右にある液晶モニターで出席状況や発言状況、採決結果などが確認できる。
  • 議長席前の発言台には、参加者ユニットTS-912を設置。
  • 理事者席にも、参加者ユニットTS-912を1台ずつ設置。市長席にのみ10型液晶モニターが設置され、議場内の映像や採決を確認することができる。
  • 理事者席前にある答弁席。参加者ユニットTS-912が設置されている。
  • 議員席前にある質問台。参加者ユニットTS-912が設置されている。
  • 議員席に設置されている参加者ユニットTS-912。投票機能を持っており、採決の際、賛成の場合は賛成ボタンを押し、押さなければ反対、意思表示をしないなど棄権する場合は議場から退席するという運用になっている。
  • 操作席のタッチパネル。マイクやカメラの制御、出席議員数や発言残時間の設定、モニター表示の切り換え、採決、テロップの挿入等を行うことができる。

  • 議場内の拡声用に設置された、広指向性天井埋込型スピーカーF-2351C。

  • 議場の前方に2台、後方に2台設置されている60型の大型モニター。出席議員数、発言残時間のほか、採決画面、マイクと連動して映し出される発言者の映像を議会運営ソフトウェアの操作で切り換えて表示できる。
  • 傍聴席にある60型の大型モニター。
  • 難聴者補助システムとして傍聴席に設置された赤外線ラジエーター。
  • 傍聴席には難聴者のためにヘッドホンと赤外線受信機が用意されている。赤外線ラジエーターからの赤外線信号を受けて、議会の模様を聞くことができる。

インタビュー記事

「開かれた大野市議会として、情報公開の取り組みと並行して 市民の多様なニーズに応えていきたい。」

大野市 議会事務局 事務局長

山村 正人 氏

「映像配信や電子投票など、機能は格段に増えていますが、ストレスなく操作できています。」

大野市 議会事務局 係長

前田 晃宏 氏

-新しい議場用システムの使い勝手はいかがですか?

前田 氏

議場用システムに関しては、私ともう1人の書記で操作を行っています。役割分担としては、マイクとマイクに連動するカメラの操作は私が主として行っています。予備テロップ、質問の残時間の管理については、もう1人が行っています。システム自体は1人で操作することもできますが、チェックも含めて当面は2人体制で考えています。
以前のものと比べると、映像配信や電子投票、テロップ表示など、機能が格段に増えて、実際にやることも増えていますが、マイクとカメラ映像が連動するなど自動化された部分もありますので、負担が大きくなったという実感はありません。最初は操作に戸惑いましたが、徐々に慣れてきましたので現在ではストレスなく操作できています。

-期待されている効果は?

山村 氏

新しい議場になったからといって傍聴者が大幅に増えたという感じはありませんが、市民の方には興味を持っていただいています。市の職員も庁舎内の各課に置いてあるテレビで議会中継を見られるようになりましたので、議会に対する関心も高くなっています。職務上は課長以上しか議場に入れません。今まで一般職員も議会中継の音声は聞ける状況でしたが、どのように議会が進行されているのかを見ることはできませんでした。新しい議場になり映像で中継されるようになって、一連の流れを確認することができるようになりましたので、職員の反響は大きかったように思います。

また、人口減少の局面に入っていますので、若い子供たちに大野市に住み続けてほしいという思いもあり、8月に「第1回大野市子ども議会」を開催しました。大野市内の小学校の6年生が議員となり、理事者には市長はじめ副市長・教育長が参加し、議長・副議長もオブザーバーとして、実際の議会と同じ形式で実施しました。子供たちは子供目線での質問をし、理事者も新鮮な感覚を受けて真摯に答弁しました。議会の模様もDVDで配布したほか、会議録も本物に近いものを作成して配布しました。市政に関心を持ってもらうという意味で、成果が大きかったと思っています。選挙権年齢の引き下げも検討されていますので、高校生議会の実施も検討していく予定です。

-今後の展望をお聞かせください。

山村 氏

平成27年2月に議会基本条例を施行し、開かれた議会運営に努めています。その取り組みは今後も継続していきますが、一方で市民のニーズが多様化していることも事実です。そのニーズをしっかりと受け止めながら、議会運営の在り方を検討していく必要があります。
また、議会中継のリアルタイムでの配信については、全国的に野次や不適切発言などの問題を報道で目にする機会もありましたので、大野市でも議会側の意識改革を含めて進めていかなければなりません。情報公開や見える化の取り組みを通じて、今後もさらに大野市政に関心を持ってもらうとともに、議会を身近に感じてもらえる取り組みを継続して行っていきたいと考えています。

福井県大野市の概要

大野市は福井県の東部に位置する人口34,826人(平成27年12月現在)の市で、福井県内の市町で最大の総面積を誇ります。
日本百名山のひとつ「荒島岳」などの山々があり、名水百選の「御清水」をはじめ多くの湧き水があることから、国土庁(現:国土交通省)の「水の郷百選」や、豊かな自然に恵まれており、夜空がきれいなことから「星空の街」にも選定されています。
県指定史跡の越前大野城は10月から4月末頃にかけて城下町を雲海が包み込む、幻想的な「天空の城」として注目を集めています。

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