ウィーン国立歌劇場 様

「ウィーン国立歌劇場」のイメージ画像

ウィーン国立歌劇場が2度もTOAを選んだ「理由」

概要

世界のオペラの最高峰として、“音楽の都”を代表するのが、オーストリアの「ウィーン国立歌劇場」。その歴史と伝統は古く、創立は1869年。2002年には、指揮者・小澤征爾を音楽監督として迎え入れたことでも話題になりました。

劇場の主席トーンマイスターと共同開発した世界初のフルデジタルミキシングコンソール

TOAと「ウィーン国立歌劇場」のつながりは、1990年に世界初の劇場用フルデジタルミキシングコンソール「 ix-9000 」を、TOAのエンジニアと、劇場の主席トーンマイスター、ヴォルフガング・フリッツ氏とで共同開発したところから始まります。

ix-9000 」は、デジタルオーディオ信号処理とミキシングのみならず、同じ作品を何年にも渡って再演するレパートリー制を採っているオペラに的をしぼったオートメーション機能を持ち、多種多様な演出効果を生み出せるシステムとして、劇場に導入されると同時に、世界的にも注目を集めたのです。

安全性最優先で開発されたカスタマイズシステムは万が一のシステムダウン時も、バックアップで公演を続行

「 ix-9000 」納入から12年。2003年シーズンから使用する新しいミキシングコンソールの導入にあたっても、「ウィーン国立歌劇場」が選んだのはTOAでした。

「 ix-9000 」の後継機は、ホール・劇場向け汎用機「 ix-3000 」を「ウィーン国立歌劇場」のためにカスタマイズした「 ix-3000F-SO2 」です。
「ウィーン国立歌劇場」専用機としての色が濃かった「 ix-9000 」と同等の特殊機能を最大限持たせながら、フリッツ氏の要望を細部に取り入れたシステムになっています。

今回、最優先されたのは“安全性”でした。万が一、公演中にシステムがダウンしても、公演を中止せずにすむこと。続行できる対策が求められました。

「 ix-3000F-SO2 」は、大・小2種類のコンソール部と最大規模の信号処理を搭載したラック部をそれぞれ独立して持つことで、完全に二重化された安全性を確保しています。通常は2種類のコンソール部を一体化させ、大規模なシステムとして運用。万が一のシステムダウン時は、もう一方のラック部でバックアップを行い、公演を最後まで続けられるというものです。

さらに、これらのシステムは、自在に分離、合体させることができるので、目的に応じたミキシング環境を容易に構築できるよう考慮されています。例えば、それぞれを分離して、独立した作業を同時に進めたり、小型コンソール部分のみを客席に持ち込み、リモートオペレーションを行うことも可能になっています。

従来より「ウィーン国立歌劇場」では、場内各所に配置されている76個ものスピーカから漏れるわずかな残留ノイズをカットするため、使用しない回線のAMP出力を切り離すリレー制御がされています。後継機では、この“アーリレー”をコンソールのフェーダから連動制御し、任意の出力チャンネルフェーダを上げた瞬間に、その回線が自動的に活かされるようになっています。

トーンマイスターは、「 ix-3000F-SO2 」に搭載した新開発“アーリレー”対応機能とオートメーション機能を用いることで、オペラのシーン毎にこれらを総合的かつ簡単にコントロールして、音場を縦横無尽に操っていきます。

ミキシング環境の高度なオートメーション化は、より芸術的な面に注力できることを意味します。トーンマイスターは、コンソールを使って単にマイクの音を上げ下げしているのではなく、舞台と譜面を見ながら、音を聞きながら操作していきます。いわば、彼らにとってコンソールは、機械ではなく、楽器と同じ。そのため、きめ細かな要望が出され、それらに対応することが求められました。

TOAがオペラの最高峰「ウィーン国立歌劇場」で2度も続けて選ばれた背景には、彼らトーンマイスターの要望と期待に答え続けてきたことが理由としてあるのです。

  • ウィーン国立歌劇場主席トーンマイスター、フリッツ氏
    1990年に納入された1号機「 ix-9000 」と、共同開発者のウィーン国立歌劇場主席トーンマイスター、フリッツ氏
  • 劇場内部
    劇場内部。4階の窓部分が「 ix-3000F 」が設置されているコントロールルーム

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