沖縄県宮古島市 様

「沖縄県宮古島市」のイメージ画像

宮古島市全域152カ所をカバー、停電時やすべての市民、観光客への情報伝達も考慮した新・防災情報放送システム。

概要

沖縄本島の南西約300km、宮古列島に位置する宮古島市。透明度の高い海とサンゴによる白い砂浜が印象的で、ビーチリゾートや各種マリンスポーツ目当てに多くの観光客が訪れています。
宮古島市では、島全体がおおむね平坦で、最高標高でも113メートルしかありません。東日本大震災以降、自治体で災害情報の伝達手段が検討される中で、宮古島市でも津波をはじめとする災害対策は急務で、老朽化していた防災放送システムのリニューアルを検討されていました。
TOAでは、既存の放送システムで苦情の多かった市庁舎周辺への放送に、遠達性と明瞭性の高い「ホーンアレイスピーカー」をご提案。市庁舎周辺の騒音苦情の解消と放送内容の正確な伝達に貢献しています。

納入情報

納入先 沖縄県宮古島市 様
納入品 ホーンアレイスピーカー
納入時期 2012年2月
採用背景 既存放送設備の老朽化、また市内全域をカバーできていないといった点から、新しい防災情報放送システムの整備が緊急の課題となっていました。離島を含む市内全域をカバーし、なおかつ以前から苦情や問い合わせが多かった市庁舎周辺への放送の改善が図れる機器、システムが求められていました。IP放送網を活用し、市内152カ所の放送機器に拡声することで市内全域をカバーでき、既設スピーカーの倍以上の距離まで音が届けられる、明瞭性の高い放送が可能な「ホーンアレイスピーカー」が評価され、採用に至りました。

課題と解決のポイント

課題

  • 既存放送設備の老朽化等により、新防災情報放送システムを構築しなければならなくなった
  • 防災放送が市内全域をカバーできていないため、放送が聞こえない地域が存在する
  • 市庁舎周辺に放送する際に、音の重複や干渉による騒音苦情や内容の問い合わせが寄せられる

解決のポイント

  • IP放送網(無線ネットワーク、フレッツ・VPNワイド)、携帯電話網による防災情報放送の伝達
  • 市内全域152カ所に設置した放送設備で、市内一斉放送や個別放送を実施
  • 遠達性があり音の干渉が少ない「ホーンアレイスピーカー」で明瞭性の高い音を提供

詳細

背景

既存の防災情報システムが老朽化、カバーエリアの不備や騒音苦情などの課題が山積

宮古島市では、住民への防災情報の告知手段はアナログ方式の防災無線と、一部地域ではネットワークを活用したIP告知端末方式を併用し、防災柱に設置されたスピーカーから放送していました。しかしながら、導入から20数年が経過して放送設備の老朽化が目立つようになってきました。その上、防災無線アナログ周波数帯の使用期限への対応も急がれ、防災放送が市内全域をカバーできていないことや、市庁舎周辺の放送に対して騒音や問い合わせなどが多数寄せられていたため、既存方式に置き換わる新しい防災情報放送システムの整備が緊急の課題となっていました。

課題

防災情報をすべての市民に確実に届け、被害を最小限にとどめられるシステムに

従来の防災情報放送システムでは、宮古島市のすべての地域をカバーできておらず、放送が聞こえない地域が存在していました。また、放送が聞こえる地域でも、市庁舎の周辺の住宅地に防災柱を立てて放送していたので、隣の自治区の放送の音が聞こえたり、音の干渉などの影響で、「放送内容が聞き取れない」、「何の放送だったのか?」といった問い合わせや確認、また、「放送がうるさい」といった苦情が多く寄せられていました。あまりにうるさく、聞き取りにくかったので、防災放送の電源を切っていた自治区もあり、防災情報システムの役割を果たせていませんでした。その他、災害発生時に停電が起きた場合、放送ができないなどの制約もありました。
市内全域をカバーできて、停電時や勤務就学時の人たちも含めて情報伝達をしたい、市民の安全・安心の観点から、平常時の防災意識の高揚、災害発生時の情報収集管理(安否確認、避難所情報など)や消防・警察との連携を考慮し、単なる防災放送だけではなく、機能性・拡張性に富んだ防災情報放送システムの構築を目指されました。

解決策

IP放送網などを活用し、市内全域をカバー、「ホーンアレイスピーカー」で市庁舎周辺への音環境を大幅に改善

宮古島市の新「防災情報放送システム」は、IP放送網を利用して各自治区と宮古島市庁舎内に設置された放送システムを接続、宮古島市全域152カ所をカバーし、停電時や宮古島市の全市民や観光客への情報伝達も考慮されたシステムです。
市庁舎周辺には、既設スピーカーと比較して、音の到達距離が約800メートルと倍以上の遠達性を実現した「ホーンアレイスピーカー」を5基、市庁舎の屋上に設置。音の干渉が少なく、明瞭性の高い放送を提供できるようになり、市庁舎周辺の約28カ所の自治区をカバーしています。また、今回のスピーカーは音源部となるドライバーや塗装、金具、ポールもすべて宮古島市オリジナルの仕様になっています。台風の通り道になることが多いことを考慮し、金具もスピーカー全体を覆い、H形鋼を使って設置することで、耐風速75mを確保しています。また、災害発生時に停電が発生した場合も、一定時間放送できるように改善されているので、最低限の防災情報を提供できます。
その他、108ある行政区の区ごとにある公民館や学校、出先機関(支所)、海岸(新城、吉野、宮国、池間島)などに設置した放送設備により、個別放送や市内一斉放送、優先制御、定時放送やチャイム放送、双方向機能、J-ALERT(全国瞬時警報システム)と連動した警報放送、災害復旧や復興時の罹災証明書発行支援機能なども提供します。
また、システムに登録された固定電話や携帯電話からこれらの放送をすることができます。たとえば、宮古島市職員や自治区の区長が市庁舎や公民館などに出向くことなく、一般の固定電話や携帯電話から市庁舎にある防災情報放送システムを通して、市内や自治区へ放送することができるようになりました。仮に地震や台風などの自然災害が起こった際にも、直接災害現場や避難場所から放送することが可能です。また、公民館などに設置されている放送用アンプからの放送も行えます。
このほか、音声放送の聞き逃しを防ぐために、市民があらかじめ携帯電話やPCのメールアドレスを放送システムに登録しておくと、放送した内容を音声ファイルに変換し、自動的に市民の携帯電話やパソコンにメールを配信することも可能になりました。

  • 宮古島市庁舎の屋上に設置されているホーンアレイスピーカー。
  • 屋上には全部で5基のホーンアレイスピーカーを設置し、周辺に向けて放送を行っている。半径約800mのエリアはホーンアレイスピーカーの放送でカバーしている。
  • 市庁舎の屋上に設置されているホーンアレイスピーカーは、台風にも耐えられるよう、強固な特注仕様となっている。
  • 市庁舎から離れた場所には、IPネットワークや防災無線などを活用して、防災柱に設置されているスピーカーから各種放送を拡声する。

インタビュー記事

川満 秀海 氏
「市内全域をカバーできる放送システムで、防災情報の提供はもとより、市民への行政サービスの向上に努めます。」

宮古島市役所

総務部 総務課 防災・危機管理係

川満 秀海 氏

-新しい防災情報放送システムの使い勝手はいかがですか?

以前のシステムは市内全域をカバーできておらず、また苦情が多く寄せられたり、放送内容が正しく伝わっていなかったりと、不備が多くありました。設備の老朽化が進み、以前から新しい防災情報放送システムの検討を始めていましたが、防災無線のアナログ周波数帯域の使用期限なども重なって、統合的な防災情報放送システムを導入することになりました。
導入したシステムでは、システムに登録された携帯電話や一般の固定電話を使って、私や市職員、警察や消防署の職員が防災情報や行政情報を市内に一斉放送したり、自治区の区長が自治区内へ放送することができるので非常に便利です。実際に以前のシステムと比較して、利用の幅も広がっていますし、利用回数も格段に増えています。また、システムに市民のメールアドレスを登録しておくと、放送内容をメール受信できる点も、市民への行政サービス向上の観点から今後さらに広めていきたいと考えています。

-ホーンアレイスピーカーの導入効果を教えてください。

以前のスピーカーと違って到達距離が長く、音の干渉が少ないので、苦情や放送内容の問い合わせもほとんどなくなりました。この間も津波警報が発令されたので、防災情報放送システムを活用して深夜に市内一斉放送を行ったのですが、騒音の苦情はひとつもありませんでした。逆に、「何秒後に津波が来ます」というように具体的な時間を入れた放送内容にしてはどうかといった、前向きな要望が寄せられました。確実に放送内容が市民の耳に届き、明瞭性の高い放送を届けることで内容が理解されており、市民の意識も変わりつつあることを実感しています。
市内の28の自治区を5基のホーンアレイスピーカーでカバーできているので、費用対効果も高く、品質的にも非常に満足しています。

-今後の展望をお聞かせください。

ようやく市内をすべてカバーできる防災情報放送システムを整備でき、これから積極的に活用していけたらと考えています。通常は定時放送やチャイム放送、行政などのお知らせ情報を放送することで、稼働状況を日々確認しながら、万が一の災害発生時にしっかりと市民に災害発生を報知し、被害を最小限に防げるように、訓練や教育なども並行して行いながら定期的に運用の見直しをしていく予定です。
また、県内外から宮古島市の防災情報放送システムを視察に来られたり、情報提供を求められたりすることが多くあります。宮古島市からも積極的に情報発信していくことで、ほかの自治体にとって少しでも参考になったらと考えています。

宮古島市の概要

宮古島市は、沖縄本島から南西に約300km、東京から約2000km離れた、大小6つの島(宮古島、池間島、来間島、伊良部島、下地島、大神島)で構成される市で、2005年に5市町村が新設合併して誕生した。
毎年、国際的なスポーツイベントである「全日本トライアスロン宮古島大会」は有名で、それ以外でもプロ野球のキャンプ、各種スポーツ団体の合宿等が行われ、島全体が「スポーツアイランド宮古島」としても活気づいている。

システムプランニング:株式会社アイテックソリューションズ
元請:NTT西日本-九州

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