
振付家・ダンサー(ナビゲーター、ダンサー)
私はワークショップのナビゲートとダンスの実演を担当しており、音楽の楽しさや豊かさを子どもたちにより体感してもらうためには、ダンスがどのように関わり、サポートすればよいか、日々模索を重ねています。
そのような模索の中から出た答えを通じて、90分のワークショップの中で、参加した子どもたちの心が徐々に開放され、表情も身体もいきいきとしてくるのを目の当たりにすると、なんとも言えない充実感でいっぱいになります。
実は最近、日々の生活の中で、子どもたちの心身が沸き立ったり静かに落ち着いたりする状態のレンジが狭くなっている気がしてなりません。そんな中、TMWはそれを広げられる機会になっているのだろうと実感しています。
自分の力で、そして全身で、「音」を感じ身体を動かすことで、“忘れられない体験とは自分自身がつかみ取ること”であることを味わってもらえたら幸いですね。
そしてもちろん、そういうことを他の人とも共有できる人に育ってくれれば言うことはありません。

音楽担当
実は、講習形式とは違うワークショップに参加し、子どもたちの反応を見て、考えながらつくることはこれまで経験したことのないものでもあり、初めはとても戸惑いました。異なったジャンルのアーティスト(ダンサー)と、どう合わせていけばいいのかと悩んだこともありました。
しかし、実際に何度か参加することで、子どもたちの反応が新鮮で、ライブ感・臨場感があり、どんどん楽しくなってきました。
最近の子どもたちは自発的なことをしないという印象を持っていましたが、TMWで本来の子どもの姿を垣間見て、子どもは今も昔も変わっていないと実感しました。
私も、子どもたちの成長に負けていられません。「韓国の伝統楽器」という枠にとらわれず、ジャンルを超えて、グローバルな音楽をつくり、子どもたちに届けたいです。そして、TMWオリジナルの音楽をつくることができるといいですね。

企画制作、全体進行担当
子どもたちが、今まで知らなかった音楽の楽しさや、自分を表現する喜びを味わい、「楽しかった!」と満面の笑顔を見せてくれた瞬間は、本当に嬉しいです。
限られた時間と設備の中で、どうすれば子どもたちがアーティストと一体となって、より音楽の楽しさを体感できるようになるのか。そのために、90分間のワークショップ終了後に、3時間かけて改善点を模索したこともありました。こうした時間の積み重ね、様々な試行錯誤の繰り返しが、今のTOA Music Workshop (TMW)を創ったのだと思います。
先日、とても心に残ったことがありました。
アーティストのパフォーマンスの最中にひとりの男の子が突然集団から飛び出し、アーティストと一緒に踊りはじめ、周囲の喝采を浴びました。後日、担任の先生に伺うと、普段はとても静かなお子さんで、クラスメイトが何より驚いたとのことでした。
私たちがTMWで伝えたいことが、彼の心に届いたのだと思うと、とても感動しました。
このように、TMWに参加することで思いきり心と体を開放し、音楽の楽しさや、普段は気づかない自分や友達の良さを知るきっかけになれば嬉しいですね。
きっと、このような体験を積み重ねて、自分とまわりの人を大切に思う心を育てることができると信じています。

企画、全体統括
芸術を子どもたちの教育に活かす活動は数多くありますが、TMWのように多人数・短時間という形式で実施している例は少ないはずです。
「どうすれば学校にとって利用しやすいプログラムになるのか?」そのために7年の年月をかけ、メンバーとともにゼロから創りあげてきた活動です。
その過程は苦労の連続でしたが、何より充実した時間でもありました。
メセナ活動とは、「TOAってこんな会社です!」という自己紹介のようなもの。地域社会と企業の共存における、「最初の一歩」を創る活動だと考えています。
TMWの活動後、「TOAのみなさん、また来て下さい」と子どもたち直筆のお手紙をいただくことがあります。おそらくは知らない会社だったTOAに、子どもたちが親しみを感じてくれたのだと、嬉しく思っています。
ワークショップの終了直後、一人の児童が満面の笑みで駆け寄ってきて、汗だくで息も切れ切れながら「ボク、めっちゃ凄かった!」と声をかけてくれたことがありました。
間近で見たプロの演奏やダンス、その凄さに感動する以上に、プロと一緒に音楽に参加し精一杯踊り続けられた自分自身に驚き、「凄い」と讃えての素直な言葉だったと感じています。
TMWの活動の中では、学校の先生ですら予想もしていなかった変化が、子どもたちに現れることがあります。何年も体育を見学していた生徒が、ダンスの最中に集団から飛び出て一人で踊りだし、それを友人が喝采で讃えたこと。学級参加が出来なかった児童がワークショップに参加し、感想文まで書いたことに、先生も保護者も驚いたこと。
いずれも小さな出来事ですが、子どもたち本人にとっては大きな変化です。それは、子どもたち自身が自分自身の可能性や素晴らしさに気づき、「新しい自分」に出会うこと。TMWは、こうした変化を意図的に誘導することはしていません。あくまで、音楽を通して、そのきっかけを提示する活動でありたいと思っています。
TOAは本業として、校内放送設備や安全管理などで、学校運営への貢献に取り組んでおり、本業以外においても子どもたちのことを自発的に考え、メセナ活動として音楽と感動を届けています。
そのどちらもが「学校に対して、TOAが出来ること、やるべきこと」だと思っています。日本中の学校が安全で、そこで子どもたちがのびのびと音楽を楽しみ、そして、TOAに親しみを持ってくれている。そんな未来になれば嬉しいですね。