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the masterpiece of TOA

ラインアレイスピーカー
ラインアレイスピーカー

ホールの全ての座席を均一にカバーし、高品位な音声再生を実現する、究極のラインアレイスピーカー type A。

通常のスピーカーから鳴る音の波は、水面に石を投げたときの波紋のように、同心円状に拡がっていく。このためホールなどで通常のスピーカーを使うと、天井や床に音が乱反射して、余分な反射や音の減衰が起こる。こうした上下への音の拡散を防ぎ、直線的に音を飛ばすスピーカーが、ラインアレイスピーカーである。ラインアレイは天井や床などでの余分な反射が抑えられるばかりか、音が上下方向に拡散しないため、余分なエネルギーを奪われることなく、まっすぐ遠くまで音が届く。このため会場のどこで聞いてもクリアな音が出せる、明瞭性と遠達性が得られるのだ。ところがラインアレイを実現する技術の多くは、既に海外メーカーによって特許を押さえられてる。このため従来のラインアレイは、海外の大手スピーカーメーカーの独壇場。日本で生産しているメーカーは皆無だったのだ。



ラインアレイスピーカー type A ラインアレイスピーカー type S


プロオーディオディビジョン 久保田裕司

プロオーディオディビジョン
久保田裕司

「今回私たちが開発したスピーカー、type Aは、日本初の純国産ラインアレイスピーカー。海外勢とは全く異なる原理を使い、彼らの特許を回避しながら、同等かそれ以上のクオリティを出すこと、よりシンプルな部品で構成することに成功したのです」。こう語るのはTOAのエンジニア、久保田裕司。type Aの開発で、企画や設計や試作から量産に至るまで、ほぼ全てに携わった人物だ。「特に、高音部のスピーカーには、線状の音源を実現するために精密な波面のコントロールが必要となります。我々は、この高音部において、ドライバーユニットとホーンを接合するスロートの部分に独自の構造を採用したのです」



詳しくは図を見ていただきたいが、久保田の考えたスロートは、音を伝える導管が次々に枝分かれする構造。ドライバーからの音波は枝分かれした導管を伝わっていくが、どのルートを辿っても全く同じ経路長でスピーカーの開口部に到達する。そのため、開口部に理想的なリボン状の波面が作られるのだ。この方式なら海外勢の特許にも抵触しない上に、同じ部品を左右貼り合わせたシンプルな部品構成でこの構造を実現できる。久保田の編み出したオリジナルのアイデアである。

ラインアレイスピーカーの内部 色付部分の右からドライバー、スロート、ホーン


「ただし直線的に音導管を分岐させると、精密な経路長の調整ができず、また伝播中に音の反射や伝播ロスが生じます。このため、音導管の分岐形状の設計には、開口部までの経路長や音道幅を厳密に調整しながら、微妙な曲げを加えたり、断面積の変化を調整したりと微妙な寸法調整が必要になります。開発ではコンマ数ミリの修正が延々と続き、最後は上司からストップがかかるまで、試作作業と再設計の繰り返しでした。その集大成がtype Aなんです」

 

さらに細かなチューニングの際には、TOAグループが誇る「ジーベック・ホール」が使われたという。キャパシティ300名のホールに試作品を持ち込み、時には2週間に渡って貸し切り、納得のいくまで調整を行った入魂作、type A(※)。その驚異的なクオリティーが世界の音楽通を唸らせる日は、すぐそこまで来ている。

※type A:実際にはラインアレイtype Aシリーズと同時進行で、ラインアレイtype Sシリーズという下位機種も開発、同時発売にこぎ着けている。このほか久保田らの設計は、取り付け金具などのアプリケーション類全てに及んだ。一つの仕事をトータルに任せてもらえる、TOAならではのエピソードである。


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