なるほど音の教室
テーマ「ハウリングとのあくなき戦い」



 
いろいろな場面で私たちを悩ませる「ハウリング」。ここでは、そんなハウリングについての素朴な疑問から防止法まで、詳しく、分かりやすくお伝えします。

* 1. ハウリングって何?

* 2. ハウリングはなぜ起こる?

* 3. ハウリングを起こしやすい音の成分とは?

* 4. ハウリングが起こるとどうなる?

* 5. ハウリングはどうすれば防げる?

* 6. プロの現場では

* 7. ハウリング防止上の問題点

* 8. ハウリングサプレッサで問題解決!



1.
ハウリングって何?
図表学校で行われる朝礼や運動会、お祭りなどのイベント会場に設けられた特設ステージ、カラオケボックスなど、マイクとスピーカーを扱う場面で「キーン」「ブーン」といった耳をつんざくような音を聞いたことがありませんか? ハウリングとはこの現象のことをいいます。


2.
ハウリングはなぜ起こる?

図表ハウリングが起こる仕組みは下記の通りです。
1)まず、マイクの拾った音がアンプに送られ増幅されます。
2)次に、増幅された音がスピーカーから出力されます。
3)このスピーカーからの音を更にマイクが拾います。 →1)
に戻る。
これを繰り返すことで、マイク〜アンプ〜スピーカーの間を音がループしてしまいます。このとき、ループする音のうち、ある周波数の成分のみがどんどん増幅され、「キーン」「ブーン」という音になってしまうのです。これがハウリングです。

*
3.
ハウリングを起こしやすい音の成分とは?
  図表空間には、その空間特有の音響特性があります。これは、空間の広さ、形、壁や天井の材質、そしてマイクとスピーカーの設置場所など、空間内のあらゆる要素が反映されるため、空間の数だけ音響特性があると言えます。音響特性をグラフにすると、上図の通り、でこぼことした線を描きます。この線の中で尖って山のようになっている部分を「ピーク」と呼びます。このピークの周波数こそが、ハウリングを起こしやすい周波数なのです。
マイクで拾った音のレベルを上げていき、ピークがある一定のレベルを超えると、そのピーク周波数成分だけがどんどん増幅されて大きくなってしまい、ハウリングが発生します。増幅された音の周波数が高いと「キーン」という高い音のハウリングが、周波数が低いと「ボーン」という低い音のハウリングが起こります。(下図)

4.
ハウリングが起こるとどうなる?
誰でも一度は耳にしたことがあるハウリング音は、とても耳障りで不快なもの。肝心のスピーチや歌を台無しにしてしまいます。
※最悪の場合、聴覚に支障をきたしてしまう恐れもあります。

図表
また、あまりにも大きなハウリングが発生すると、スピーカーやアンプなど、使用している音響装置の破損にもつながります。大事な発表の場で突然装置が故障してしまうことにもなりかねません。
*
5.
ハウリングはどうすれば防げる?
ハウリングを防ぐ最も基本的な方法は、指向性の強いマイクとスピーカーを使用し、スピーカーの音をマイクが拾わない場所に設置することで、音がループしてしまうのを防ぐというものです。
図表*

6.
プロの現場では
図表機器の指向性やセッティングで、ある程度ハウリングを防ぐことはできますが、これだけでは万全とは言えません。何かの拍子にハウリングが起こってしまうことも十分考えられます。大きなコンサート会場や劇場など、ハウリングにとてもシビアな現場では、この程度の防止方法では対応できません。しかし、実際にそのような大きな会場でハウリングに困っている様子を目にすることはほとんどありません。そこでは、プロの手によってあらかじめハウリングしやすい周波数成分をカットすることで、ハウリングが起こりにくい状況を作り出し、さらに本番中もハウリングが起こらぬよう常に監視しているのです。
前述した通り、ハウリングの起こりやすい周波数(ピーク)は、その空間や、マイクとスピーカーの位置によってある程度決まっています。このため、使用前にあらかじめその空間の音響特性を調べ、ピークの周波数成分をカットしておくことでハウリングを防ぐことができます。
まず、全体のレベルを上げて故意にハウリングを起こしてピーク周波数を検知し、その周波数のレベルを落とすことでハウリングの起きにくい設定ができ上がります。このような音の操作を行う事ができる装置に「グラフィックイコライザ」(注)と呼ばれるものがあります。プロの現場では、ハウリングを抑制する手段として主にこのグラフィックイコライザを用いて、ハウリングを起こしやすい周波数成分をカットしています。

(注)グラフィックイコライザとは?
右の図のように、あらかじめ設定されている周波数帯ごとにレベルを調整することで音質を補正することのできる音響装置です。(使用目的はハウリング防止のためだけではありません。)
図表

7.
ハウリング防止上の問題点
前項では、プロの現場で行われている、グラフィックイコライザを用いたハウリング抑制について説明しました。しかし実際の音響特性は不安定で、ここで説明したようにマニュアル通りにうまく調整することは困難です。つまり、プロのオペレータや、経験を積んだ熟練の人でないとなかなかうまく調整することはできないのです。また、仮にうまく調整できたとしても、それでハウリング問題がすべて解消されるわけではなく、次のような問題があります。

(1)
図表
(2)
図表

8.
ハウリングサプレッサで問題解決!
*前述した通りグラフィックイコライザで解決できない問題もいくつかあります。それらの問題を解決してくれるのが、「ハウリングサプレッサ」と呼ばれるハウリング抑制機です。この装置は、ハウリングしやすい周波数成分を簡単に探し出し、そこにフィルタをかけることでハウリングを抑制することができます。また、突発的なハウリングに対しても、フィルタを自動的に設定し、瞬時にカットしてくれます。さらに、過大入力が入ることを防ぐコンプレッサ機能や、ノイズ対策のためのノイズゲート、ローカットフィルタといった機能を持ち合わせている機種もあります。
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