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拡声系サウンドシステム

幼稚園・遊戯室のサウンドシステム配置例

配置例イメージ

拡声系サウンドシステムとは
サウンドシステムの機能と役割をひとことでいうと「スピーカーで空気を振動させて、音声・音楽の情報を聴取者に伝達すること」といえます。ハウリング(キーンという音)の危険性の有無で、BGM系サウンドシステムと拡声系サウンドシステムの2種類に区別できます。


難しい遊戯室のサウンドシステム

遊戯室といえば、舞台での発表会はもちろん、部屋全体を使った遊戯指導や運動など様々なシーンでサウンドシステムが必要とされますが、明瞭性がとれない、ハウリングする等お困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、遊戯室のサウンドシステムは意外と難しいのです。たとえば元気な子供たちの声。多人数が集まると想像以上ににぎやかですよね。あのにぎやかさに対抗するには、かなりの音量で拡声する必要があるのですが、室内を見渡すと、ガラス窓を多用した壁面や天井面、板張りの床などはすべて音を反射する性質があるうえ、直方体の部屋形状が「エコー(ヤマビコ現象)」を誘発するなど、音響条件としてはけっして好ましい空間とはいえないのです。

スピーカーレイアウトの考え方
上述の音響的課題を解決するには、メインスピーカーの取り付け位置を工夫する必要があります。
よく、舞台の両脇にメインスピーカーが取り付けられているのを見かけますが、このレイアウトは、どちらかというと天井の高い空間で、舞台からの音の方向性が必要な場合の拡声に向いています。天井が低い空間では、スピーカーも低い位置になるため、マイクと近づいてしまい、スピーカーの真下でマイクを使うとハウリングしやすいので注意が必要です。
また、特に音の方向性が必要ない場合、広指向性タイプの天井埋込型スピーカーを複数分散配置するのも有効な手段です。この方式ですと1台あたりのスピーカーの音量は抑えられ、均一な音圧を確保でき、明瞭性の高い拡声サービスが可能となります。ただし、拡声音は天井方向から聴こえてきますので、舞台からの音の方向感が欲しい場合には不向きです。いずれのスピーカーレイアウトも、それぞれ長所短所があります。施設の使用目的と頻度などのバランスを考えながらレイアウトの選択をするようにしましょう。

舞台脇メインスピーカー
  【メリット】
コストを抑えたい(スピーカーを少なくしたい)場合やステージからの音の方向感が欲しい場合に有効です。
【デメリット】
天井が低いとマイクとスピーカーが近づき、ハウリングしやすくなります。
天井埋込型スピーカー(分散配置)
 

広指向性タイプのスピーカーの例【メリット】
ハウリングを少なくしたい場合や均一な音場にしたい場合に有効です。
【デメリット
大きな空間では音の方向感が不自然な場合も。

 

 

ハウリング対策
拡声系サウンドシステムとBGMシステムの大きな違いは、ハウリングするかどうかということにあります。前項でも、どうすればハウリングを抑えられるか、マイクロホンやグラフィックイコライザーなどの使い方をご紹介してまいりましたが、ここでおさらいしておきましょう。

ハウリングの仕組み マイクで拾った音を、アンプで増幅し、スピーカーから拡声し、音を出す…
PAはこのような流れになっています。ところが、体育館をはじめ、マイクを使う所とスピーカーで拡声する所が同じ空間にある場合、スピーカーから出た音をマイクが拾ってしまい、その拾った音をまたアンプで増幅し、さらに大きな音としてスピーカーが拡声、そしてその大きくなった音をまたマイクが…という一種のループ状態ができます。これが、みなさんよく体験される「ハウリング」の正体です。

1)マイクロホンの種類と選び方
マイクロホンには「単一指向性マイクロホン(*)」と「無指向性マイクロホン(*)」があります。
遊戯室では、当然マイクロホンとスピーカーが同じ空間にありますので、できるだけスピーカーの出す音がマイクに入ってループ(ハウリング)を起こさないようにするために、話者の声のみを集音しやすい単一指向性のマイクロホンを選択するようにします。
(*)[解説:サウンドシステムの基本的機器構成→マイクロホン]


■マイクロホンの使い方の注意
マイク正面の感度が高い単一指向性マイクロホンでも、持ち方一つでは無指向性マイクロホンと同じ特性になってしまいます。

間違った持ち方 ×間違った持ち方
よく図のようにマイクロホンの頭部ユニット部を包み込むように握りしめる方がいらっしゃいますが、実はこの持ち方がハウリングを起こしやすい原因になっています。
正しい持ち方 ○正しい持ち方
マイクロホンはヘッド部分(特に下半分)は絶対に握らないように心がけてください。これだけでハウリングは大幅に低減できます。

※いくら単一指向性とはいっても、ハウリングは起きます。
  マイクロホンは、できるだけスピーカーから離して設置するようにしてください。

2)グラフィックイコライザーの活用
グラフィックイコライザー音を調整するために便利な機器として「グラフィックイコライザー」が挙げられます。これは音の帯域を細かく分割してあり積極的な音づくりやハウリングポイントを抑える場合などに使われます。
右図のようにグラフィックイコライザーの素子を順に上げていき、ハウリングしやすいポイントを探していきます。すぐにハウリングが起こるポイント2〜3カ所を3dB程下げておけばハウリングはかなり抑制することができます。

3)ハウリングサプレッサーの活用
ハウリングサプレッサーグラフィックイコライザーでハウリングを抑えるには、使い方に馴れが必要です。そのため、簡単なボタン操作で自動的にハウリングを抑制してくれるオートマチック式の「ハウリングサプレッサー」があります。

 

ポップノイズ対策

遊戯室の拡声で耳障りなものに「ポップノイズ」があります。「パ」や「ポ」などの特有の音をマイクロホンで拡声すると低音域が強調されてしまう現象です。この現象は、イコライザーやミキサーについているハイパス(ローカット)フィルター(*)で調整すると、ずいぶん聞き取りやすくなります。
(*)フィルターのついていない機種もあります。

ハイパスフィルターの仕組み

■グラフィックイコライザーの例
グラフィックイコライザー:イメージ

■ラックマウントミキサーの例
ラックマウントミキサー:イメージ

※周波数の調整できる機種では、実際に耳で聞きながら、このハイパスを高い数字の方へ上げていきます。数字が大きいほど、高い周波数までカットされていきます。あまりカットしすぎると、音がスカスカになって迫力がなくなってしまいますので、100〜150を目安にしてください。マイクの声のこもりやもたつきが消え、聞き取りやすくなります。

 

演劇の集音ノウハウ(マイクのセッティング・選定)

お遊戯や寸劇、芝居などの内容を集音(拡声・録音)する場合、どんなマイクロホンを選べばよいのか、どのようにセッティングすればよいのか、といったご質問を頂くことがあります。
本格的な演劇には、専用のマイクロホンが使われますが、マイクに電源を供給する必要があったり、高価であったりと、なかなか大変そうです。そこでここでは手軽にできる集音テクニックをご紹介します。

マイク選定とセッティング
■選定
音源から離れても音をよく拾えるマイクが必要です。
そこで、ボーカル用マイクではなく、スピーチ用のものを選ぶようにします。なぜなら、本格的なボーカルマイクは、豊かな声量の歌手がマイクに口を近づけて歌っても耐えられるように作られているため、小さな音を集音するには不向きであり、一方のスピーチ用マイクは、マイクから少々離れて喋っても声を拾えるように設計されていますので、舞台上の離れた音を集音するのに向いているからです。
また、ハウリングなどを考慮し、指向性(音を拾える角度の広さ)については比較的狭い「単一指向性」のものを選び、本数も3〜5本ほど使うようにします。

ボーカル用マイクロホン スピーチ用マイクロホン

■セッティング
舞台上にスタンドを立てると、足音を拾ってしまったりしますので、可能であれば舞台上部から等間隔で吊るす方法があります。また、舞台上部に吊るすことができない場合、卓上スタンド等に立てて集音し、足音はミキサーなどのHPF(12ページ参照)を使って、周波数で100Hz以下をカットするようにすると良いでしょう。

1.舞台上部から吊り下げる方法
舞台の上部幕の内側に3〜4本吊るす。

舞台上部から吊り下げる方法:イメージ 【メリット】
セッティングが容易
【デメリット】
吊り下げ方法に工夫がいる

【ワンポイントアドバイス】

マイクロホンをバトル等から吊す際、落下防止のために図のようにすることをおすすめします。



2.卓上スタンドを使う方法
舞台の縁(カマチ)に3〜4本立てて使う。足音をひろってしまうときには、防振材※を使って床との「縁切り」をすることが有効な場合もあります。

卓上スタンドを使う方法:イメージ 【メリット】
セッティングが容易
【デメリット】
舞台上の足音等を一緒に拾ってしまう。転倒の恐れがある

【ワンポイントアドバイス】

足音をひろってしまうときには、防振材(*)を使って床との「縁切り」をすることが有効な場合もあります。

(*)オーディオショップ等で「インシュレーター」という名称で販売されているものや、DIYショップで売られている「防振ゴム」などをご利用ください。

 

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